計量計測トレーサビリティ(読み)けいりょうけいそくとれーさびりてぃ(英語表記)metrological traceability

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

計量計測トレーサビリティ
けいりょうけいそくとれーさびりてぃ
metrological traceability

ある測定器を校正するために必要な計量標準は、より上位の計量標準に基づいて校正する必要があるが、最上位の計量標準(国家計量標準または国際計量標準)にたどり着くまで、校正を切れ目なく行うことによって、その計測器がどのくらいの精度であるか、その測定値がどのくらいの信頼性があるものかを明らかにする仕組みのことを計量計測トレーサビリティという。
 国際計量計測用語(VIMInternational vocabulary of metrology, ISO/IEC Guide 99 : 2007)では、計量計測トレーサビリティについて「測定のもつ特質であり、途切れのない校正の連鎖により、測定結果が計量参照まで関係づけられること。それぞれの校正は、測定不確かさをもたらす」と定義している。
 この定義では、「計量参照」は、(1)実際に具現化された測定単位の定義、(2)順序尺度量でない量の測定単位を含む測定手順、(3)測定標準(標準物質を含む)のいずれともなりうる。そして、計量参照の仕様には、校正階層を確立する際にこの計量参照を用いた時期のほかに、校正階層のなかで最初の校正をいつ行ったかなど、計量参照に関連する他の計量計測学的情報を含めなければならない。また、計量計測トレーサビリティには、確立された校正階層が必要である。
 測定モデルで入力量(測定結果を導くために用いる「質量」や「長さ」のような量)が複数ある測定の場合、各入力量の値はそれ自体が計量計測トレーサビリティをもつことが望ましく、関係する校正階層は分岐構造およびネットワークを形成していてもよい。各入力量の値の計量計測トレーサビリティを確立するために必要となる作業は、測定結果に対する相対的寄与に対応したものであることが望ましい。
 測定結果の計量計測トレーサビリティは、測定不確かさが与えられた目的に対して十分であること、または誤りがないことを保証するものではない。二つの測定標準の比較が、測定標準の一方に帰属する量の値および測定不確かさを確認し、必要ならば補正するために行われる場合には、その比較を校正とみなしてよい。
 ILAC(International Laboratory Accreditation Corporation:国際試験所認定協力機構)は、計量計測トレーサビリティを確認するための要素を、国際計量標準または国家計量標準に至る切れ目のない計量計測トレーサビリティの連鎖、文書化された測定不確かさ、文書化された測定手順、認定された技術能力、国際単位系(SI)への計量計測トレーサビリティ、および校正周期と考えている(ILAC P-10 : 2002参照)。
 なお、「トレーサビリティ」という略語は、「計量計測トレーサビリティ」の意味で用いられる以外に、あるアイテムの履歴(trace)を意味する場合は、「試料(鉱物や産物など)のトレーサビリティ」、「文書のトレーサビリティ」、「機器(装置や部品など)のトレーサビリティ」、または「物質のトレーサビリティ」といった他の概念の意味でも用いられる。したがって、混同する可能性がある場合には、略語でない「計量計測トレーサビリティ」という表現を使用することが望ましい。[今井秀孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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