諸井三郎(読み)モロイ サブロウ

20世紀日本人名事典 「諸井三郎」の解説

諸井 三郎
モロイ サブロウ

昭和期の作曲家,音楽理論家,教育家 洗足学園大学教授。



生年
明治36(1903)年8月7日

没年
昭和52(1977)年3月24日

出生地
東京

学歴〔年〕
東京帝国大学文学部美学美術史科〔昭和3年〕卒,ベルリン音楽大学作曲科卒

経歴
東大在学中の昭和2年河上徹太郎、今日出海らとスルヤ楽団を主宰して6年までに7回の演奏会を行った。7年ベルリン高等音楽学校に入学、レオ・シュラッテンホルツに師事、9年卒業して帰国、国際現代音楽協会日本支部の設置に尽力、日本作曲家連盟委員として活躍。12年新響第1回邦人作品コンクールに「ピアノ協奏曲ハ長調」が入選。以後作曲活動を続け13年「第2交響曲」、14年「弦楽六重奏曲」「ヴァイオリン協奏曲」、15年「第2ピアノ・ソナタ」「弦楽三重奏曲」、19年「第3交響曲」などを発表。この間、著作権協会理事や音楽コンクール委員を務めると共に入野義朗柴田南雄戸田邦雄、團伊玖磨ら多くの作曲家を育てた。戦後21年から文部省社会教育視学官を務め、東京都交響楽団初代楽団長を経て、42年洗足学園大学音楽部長に。著書に「音楽形式論」「機能和声法」「楽式研究」「ベートーヴェン弦楽四重奏曲―作曲学的研究」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「諸井三郎」の意味・わかりやすい解説

諸井三郎
もろいさぶろう
(1903―1977)

作曲家。東京生まれ。東京帝国大学美学科在学中より作品を発表し、1927年(昭和2)河上徹太郎らと「スルヤ楽団」を結成し、31年まで7回にわたって作品発表会を開いた。32年山根銀二と雑誌『音楽研究』を創刊。32年より2年間ベルリン音楽大学で作曲を学び、ベートーベンからロマン派までのドイツの作曲法を身につけ、帰国後は創作活動を続けながら、教育にも力を入れた。門下から柴田南雄(しばたみなお)、入野義朗(いりのよしろう)ら優れた作曲家が輩出している。主要作品はピアノ協奏曲、弦楽六重奏曲、幻想曲風オラトリオなど。『機能和声法』、『楽式の研究』全五巻など著書も多い。

船山 隆]

『諸井三郎著『楽式の研究』全五巻(1959~61・音楽之友社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者) 「諸井三郎」の解説

諸井 三郎

東京生まれ。小学生の頃に聞いたベートーヴェンのピアノ作品に感銘を受け、以後独学で作曲を志す。東京帝国大学(現東京大学)美学美術史科在学中の1927年、文学の中島健蔵らと「スルヤ楽団」を結成。歌曲やオペ ...続き

出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「諸井三郎」の解説

諸井三郎 もろい-さぶろう

1903-1977 昭和時代の作曲家。
明治36年8月7日生まれ。諸井恒平(つねへい)の3男。ベルリン高等音楽学校でまなび,昭和9年帰国。交響曲,協奏曲を作曲,入野義朗,柴田南雄(みなお)らをそだてた。戦後は文部省で音楽教育行政にたずさわり,東京都交響楽団長,洗足学園大教授をつとめた。昭和52年3月24日死去。73歳。東京出身。東京帝大卒。著作に「楽式の研究」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「諸井三郎」の解説

諸井 三郎 (もろい さぶろう)

生年月日:1903年8月7日
昭和時代の作曲家。洗足学園大学教授
1977年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の諸井三郎の言及

【現代音楽】より

… 日本の〈現代音楽〉の創作と演奏活動は,第2次世界大戦後になって開始される。戦前にヨーロッパに留学した諸井三郎と池内友次郎は,和声法や対位法の基礎を新しい世代の作曲家に伝え,そこから多くの個性的な作曲家が輩出した。また戦後には,旗幟鮮明な創作理念をかかげたいくつかの作曲家グループの活動も開始された。…

【交響曲】より

… 日本では西洋音楽の積極的な輸入の過程で1912年に最初の交響曲(山田耕筰のベルリン留学中の《かちどきと平和》)が書かれた。その後35年ころから諸井三郎や池内友次郎らによって本格的にドイツ,フランスの作曲技法が導入され,概してヨーロッパの最新の動きから若干遅れたアカデミックな作風が伝えられてきた。第2次大戦終了以前には諸井のほか,独自の東洋的和声体系に基づく箕作秋吉らの作品がある。…

※「諸井三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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