(読み)ケン

デジタル大辞泉 「謙」の意味・読み・例文・類語

けん【謙】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(呉)(漢) [訓]へりくだる
控え目にして人にゆずる。「謙虚謙称謙譲謙遜けんそん恭謙
[名のり]あき・かた・かね・しず・のり・ゆずる・よし

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精選版 日本国語大辞典 「謙」の意味・読み・例文・類語

けん【謙】

  1. 〘 名詞 〙
  2. へりくだること。自分をひくくして人にゆずること。
    1. [初出の実例]「威万人の上に、被るといへ共、位四品の際(あいだ)を越へず、謙(ケン)に居て仁恩を施し、己を責めて礼儀を正す」(出典太平記(14C後)一)
    2. [その他の文献]〔易経‐繋辞下〕
  3. 易の六十四卦の一つ。、上卦は坤(こん)(=地)、下卦は艮(ごん)(=山)。地山謙ともいう。山の高きをもって地の低きに屈するさまで、謙遜の徳を示す。
    1. [初出の実例]「然るに今天道謙(ケン)に祐(さいはひ)して、測らざるに世の変化を見るに、吉凶相乱れ、栄枯地を易へたり」(出典:太平記(14C後)一一)

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普及版 字通 「謙」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 17画

(旧字)
17画

[字音] ケン・キョウ(ケフ)・タン
[字訓] つつしむ・ゆずる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(兼)(けん)。〔説文〕三上に「(つつし)むなり」、〔玉〕に「讓なり」という。〔易、謙、彖伝〕に謙と盈とを対称しており、倹廉の意をもつ字である。

[訓義]
1. つつしむ、うやまう。
2. ゆずる、ひかえる、へらす。
3. 慊と通じ、あきたる、こころよい。
4. (たん)と通じ、だまされる。

[古辞書の訓]
名義抄 ヘル・ユヅル・ウヤマフ・ウタガフ・キラフ 〔字鏡集〕 ヘリクダル・ヘス・ヘル・ユヅル・カルシ・ウヤマフ・ウタガフ・キラフ

[語系]
・慊・khyapは苦牒の反で同声。・慊・は自ら足れりとする意の字。は自ら快しとする意の字。声義近く、一系の語である。

[熟語]
謙恪謙愨・謙己・謙虚謙恭謙謹謙屈・謙敬謙謙謙倹謙愿・謙厚・謙克謙詞謙辞・謙柔謙粛・謙順謙恕・謙称・謙譲・謙慎・謙素謙巽・謙損・謙退・謙沖謙飭・謙徳謙黙・謙約・謙謙抑謙廉
[下接語]
恭謙・卑謙・和謙

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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