御身(読み)オンミ

デジタル大辞泉 「御身」の意味・読み・例文・類語

おん‐み【御身】

[名]」の敬称おからだ。「時節柄御身お大切に」
[代]二人称人代名詞敬意を含んでいう語。あなた
「彼は改めて―にさえ異存なくば、この際結婚して」〈福田英子・妾の半生涯〉
[類語]けい学兄大兄貴兄賢兄貴殿貴台貴下貴君貴所貴公足下貴女

お‐み【御身】

[代]二人称の人代名詞。対等またはそれに近い相手に用いる。あなた。
番頭、これ、―はいろいろの事をいふの」〈滑・浮世風呂・前〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「御身」の意味・読み・例文・類語

お‐み【御身】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「お」は接頭語 ) 対称。対等またはそれに近い下位者に対して用いる。
    1. [初出の実例]「おみは人をなぶるか、此山椒からくなくは、一斤ふるまふといふ」(出典:咄本・百物語(1659)下)

御身の語誌

( 1 )おんみ」は中世以降用いられている代名詞であるが、「おみ」は近世になってから現われた武士ことばで、前者に比して待遇価値が低い。
( 2 )近世前期上方語では世話浄瑠璃等に散見し、同等もしくはそれに近い目下のものに対して用いられていたが、後期江戸語では目下のものに限って使われており、待遇価が落ちる。
( 3 )「御身」と表記されることが多く、「おんみ」か「おみ」か判断しがたい例が多いが、「おんみ」に比べ「おみ」は口語的性格が強いようであり、現在でも各地方言で残っている。また、「おみさま」という用法もある。


おん‐み【御身】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「おん」は接頭語 ) 「身」を尊敬していう。おからだ。ご身分。
    1. [初出の実例]「御身の化粧いといたくして、やりて泊りなんものぞとおぼして」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。かるい敬意をもつ。あなた。
    1. [初出の実例]「御歎きはさる御事にて候へ共、御身ひとりの事ならず」(出典:保元物語(1220頃か)下)

御身の語誌

→「おみ(御身)」の語誌


ご‐しん【御身】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古く「ごじん」とも ) おからだ。おんみ。
    1. [初出の実例]「白毫新たに拝まれ給ひし満月の尊容も、御頭は焼摽(おち)大地に在り、御身(コしん)は涌合て」(出典:熱田本平家(13C前)五)

おおん‐みおほん‥【御身】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おおん」は接頭語。「おほむみ」とも表記 ) 高貴な人の「身」を敬っていう。お姿。御境遇。おん身。おおみみ。
    1. [初出の実例]「あないみじや。などかかるおほん身とはなり給つる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)春日詣)

み‐ま【御身】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「み」は接頭語 ) 天皇の御身体。おおみま
    1. [初出の実例]「此に竹にて御体(ミマ)を量り奉ること五度に及ぶ」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉六月暦)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android