赤衣（読み）アカギヌ

デジタル大辞泉

あか‐ぎぬ【赤^▽衣】

《古くは「あかきぬ」とも》
１ 赤色に染めた衣服。
２ 緋色あけいろの袍ほう。五位の官人の服装。あけごろも。
３ 検非違使けびいしなどの下級役人が着る赤い色の狩衣かりぎぬ。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

あか‐ぎぬ【赤衣・赤絹】

1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「あかきぬ」とも )
2. ① 赤色に染めた絹織物。
   1. [初出の実例]「是歳赤絹一百疋(ひとももまき)を(も)たせて、任那の王(こきし)に賜(たうびつか)はす」(出典：日本書紀（720）垂仁二年)
3. ② 緋色の袍(ほう)。五位の人が着る朝服。
   1. [初出の実例]「良清も同じすけにて、〈略〉おどろおどろしきあかきぬすがたいと清げなり」(出典：源氏物語（1001‐14頃）澪標)
4. ③ 検非違使などの下役人や貴族の下部が着る赤色、桃色の狩衣(かりぎぬ)。
   1. [初出の実例]「あかぎぬ着たる男の行くこそをかしけれ」(出典：枕草子（１０Ｃ終）二二五)
5. ④ 軍荼利夜叉明王(ぐんだりやしゃみょうおう)を本尊として行なう修法に、法師が着る赤色の法衣。この修法は調伏の法なので、全て炎の色として赤を用いる。
   1. [初出の実例]「心誉阿闍梨(あざり)は、軍陀利(ぐんだり)の法なるべし、あかぎぬ著たり」(出典：栄花物語（1028‐92頃）初花)

せき‐い【赤衣】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 緋色(ひいろ)の袍(ほう)。五位の人が着る朝服。あかぎぬ。
   1. [初出の実例]「院御所より御使に蔵人左衛門権佐定長、八条堀河へむかはれけり。赤衣にて劔笏をぞ帯したりける」(出典：平家物語（１３Ｃ前）一〇)
3. ② 赤色の衣服。
   1. [初出の実例]「百年の後南方に赤衣の美人あるべし」(出典：幻影の盾（1905）〈夏目漱石〉)
   2. [その他の文献]〔淮南子‐時則訓〕
4. ③ 罪人の着る赤色の着物。また、それを着た人。罪人。

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【赤衣】せきい

赤い衣。また、罪人の服。〔新序、善謀上〕孝の死するにび、國人君を怨み、之れを車裂するに至る。其の患(くわん)、漸くれて始皇に至り、赤衣路に塞(ふさ)がり、群盜山に滿つ。

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出典　平凡社「普及版 字通」