ホーニング(英語表記)honing

デジタル大辞泉 「ホーニング」の意味・読み・例文・類語

ホーニング(horning)

機械工作で、油砥石を取り付けたホーンとよぶ工具を運動させ、円筒内面などを精密に研いで仕上げる方法

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ホーニング」の意味・読み・例文・類語

ホーニング

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] horning ) 機械工作で、仕上げ法の一つ。円筒状の内面を油砥石(といし)で精密にとぎ出す方法。砥上(とぎあげ)。「ホーニング盤」 〔自動車読本(1947)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ホーニング」の意味・わかりやすい解説

ホーニング
honing

とぎ上げともいう。数本のといし片をばね油圧を利用して加工物に押しつけ,回転運動と往復運動を同時に行わせて表面の加工を行う砥粒(とりゆう)加工の一種。高品質な表面が得られるため,精密部品の最終仕上工程として用いられる。といしの回転周速度vpと軸方向速度vaの大小関係によって,加工物表面にはさまざまなクロスハッチ状の研削条痕が形成される。両者の比va/vptanθで表されるθを交差角と呼び,加工能率を高めたい場合には交差角を比較的大きくとり,2θ≃60°程度とする。これは軸方向速度が上昇すると,砥粒に作用する力の方向変化が速くなって自生発刃作用が促進されるという性質を利用している。仕上加工の場合には2θ≃20~40°程度が選ばれる。回転周速度は通常の研削加工に比べるとかなり遅く,多くの場合にvp≦70m/minである。ホーニング圧力はこれを大きくすると加工能率が上がるが,あまり大きすぎるとといしの減耗が著しくなる。粗加工では0.5~2.0MPa,仕上加工では0.2~0.8MPa程度に設定される。ホーニングといしは加工物と広い面積で接触するため,個々の砥粒に作用する力は小さく,このため表面粗さが小さく,また加工変質層の少ない良好な表面が形成される。

 ホーニングがもっとも多く利用されるのは内周面の加工であるが,このときといしの数と寸法は加工表面の寸法によって決められる。小径加工の場合は2~3個,大径加工の場合には8個程度まで増加される。といしの長さは加工物長さの半分程度とし,加工物両端でといし長さの約1/4が突き出すように往復運動の距離が定められる。加工液としては灯油軽油のように粘性の低い油を多量に供給して,発生熱や切りくずの除去を積極的に行わせる。ホーニングを行う機械をホーニング盤honing machineと呼び,内径外径平面の加工用がある。内径ホーニング盤の場合,図に示したように加工物,あるいは工具の支持を浮動式とすることが多い。また重力による曲げやたわみを避けるために,軸は垂直とする場合が多い。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホーニング」の意味・わかりやすい解説

ホーニング
ほーにんぐ
honing

砥石(といし)と工作物とを一定の面接触状態に保ち、砥石と工作物との間に二次元的な運動を与えて行う加工方法で、とぎ上げともいう。穴の内面の仕上げに多く利用されるが、外表面の仕上げにも用いられる。ホーニングには、放射状の保持具に砥石を取り付けたホーンという工具が使われる。ホーニングの際に用いる加工油としては、一般に灯油または軽油が用いられ、切削性の向上のために硫黄(いおう)系や塩素系の添加剤を加えたものも使用されている。

[清水伸二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーニング」の意味・わかりやすい解説

ホーニング
honing

とぎ上げともいう。研削加工の一種で,極微細な砥粒から成る棒状の砥石を適当な圧力で工作物に押しつけ,回転と往復運動を与えて,ごく微量ずつ表面を除去する仕上げ法。通常,複数の砥石を工具に取付け,ホーニング盤で作業する。穴の内面,円筒外周,平面のいずれにも適用できるが,穴内面を加工することが最も多い。とぎ目の交差した美麗な表面と,高い真円度,円筒度が得られるため,内燃機関のシリンダ,軸受内面,リングゲージなどの最終仕上げに利用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホーニングの言及

【機械加工】より

… 研削加工は,といしを用いて加工物を削り,所要の精度および形状を与える加工法で,表面を高い精度で仕上げたいときや,焼入れした面の仕上げなどに用いられる。高速で回転するといしを用い,これに機械的にある一定の切込みを与えて行われるほか,といしに圧力を加えて研削を行う方法としてホーニング超仕上げがあり,また砥粒のついたベルトにより加工するベルト研削加工もある。 遊離砥粒を用いて行う加工には,工具と加工物との間に砥粒あるいは砥粒と油などを混合したものを入れて,加工物を押し付けながら相対運動を行わせ,砥粒によりきわめて微小の切りくずを削りつつ加工を行うラッピング,砥粒を周囲に接着したホイール状の工具を高速回転させ,これに工作物を押し付けて加工するバフ仕上げ,バレルと称する容器内に砥材と工作物と工作液を入れて,回転または振動させて表面の仕上げを行うバレル加工などがある。…

※「ホーニング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android