転法輪(読み)テンボウリン

デジタル大辞泉 「転法輪」の意味・読み・例文・類語

てん‐ぼうりん〔‐ボフリン〕【転法輪】

仏が教えを説くこと。説法法輪は仏の教えを転輪王武器である輪宝になぞらえたもので、転は説くこと。

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精選版 日本国語大辞典 「転法輪」の意味・読み・例文・類語

てん‐ぼうりん‥ボフリン【転法輪】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。仏の説法をいう。仏の説法が煩悩や誤った考えを破砕することを、転輪王が輪宝をもって敵を降伏させるのにたとえて、法輪といい、転は説くことをいう。仏が教えを説いて、一切衆生をさとりに導くこと。転妙法輪
    1. [初出の実例]「当来世々讚仏乗の因、転法輪の縁とせむ」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
    2. [その他の文献]〔法華経‐方便品〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「転法輪」の意味・わかりやすい解説

転法輪
てんぼうりん

「教え(法)の輪を転ずること」の意で、ブッダ(仏)の説法をさす。統治の輪を転ずる聖なる理想的君主転輪聖王(てんりんじょうおう))が全世界を支配するように、ブッダの説法は、生きとし生ける者の間に回転して、迷いを打ち砕きとどまるところがないことを表す名称。輪はインド古代の武器としての戦車の輪をさすが、また統治権象徴とも解されている。ブッダが成道(じょうどう)ののち初めて教えを説いたのを初転法輪といい、これを略して転法輪ともいう。

藤田宏達

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転法輪」の意味・わかりやすい解説

転法輪
てんぼうりん

法輪を転じること。転梵輪ともいう。釈尊が説法して人々の迷いを砕くことを,戦車が進んでいって敵を破ることにたとえたもの。現在のインドの国旗にある輪は,この法輪をデザインしたもの。釈尊が悟ったのち初めて5人の比丘鹿野苑で説法したことを特に初転法輪と呼び,好んで仏教美術テーマとされる。

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世界大百科事典(旧版)内の転法輪の言及

【法輪】より

…したがって法輪とは,仏の教えが1ヵ所に止まることなく,あらゆる地方のあらゆる人々にゆきわたることを,車輪のどこにでも行く自由な動きにたとえ,また人々の邪見・邪信を砕破するのを,武器としての円盤のはたらきになぞらえたものである。仏が法を説くことを〈転法輪(てんぼうりん)〉,とくに成道(じようどう)後最初の説法を〈初転法輪(しよてんぼうりん)〉というが,これも教えを説くことを車輪を転がすことになぞらえた言い方である。また,仏の偉大な特徴を表す〈三十二相〉の中の一つ,〈千輻輪相(せんぷくりんそう)〉(足の裏もしくは掌にあるという車輪形の文様)も,仏の偉大なはたらきである説法(転法輪)を象徴するもの(法輪)とみることもできよう。…

※「転法輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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