輪之内(読み)わのうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「輪之内」の意味・わかりやすい解説

輪之内(町)
わのうち

岐阜県南西部、安八郡(あんぱちぐん)にある町。東と西を長良川(ながらがわ)と揖斐川(いびがわ)に挟まれ、南縁は南西流する大榑(おおぐれ)川を境に高須輪中(たかすわじゅう)と接する福束輪中(ふくつかわじゅう)にある。1954年(昭和29)大藪(おおやぶ)町と福束、仁木(にき)の2村が合併し、福束輪中の別称輪之内にちなんで輪之内町改称西濃穀倉地帯の一画をなし、耕地のうち90%近くを水田が占めるが、近年野菜栽培、肉牛肥育なども行われている。特産品として懸崖(けんがい)菊がある。町内各所へ工場誘致も行われ、製造品出荷額はプラスチック製品が4~5割を占め、電気機械、輸送用機械がこれに次ぐ(2020)。一方、大垣羽島(はしま)、岐阜等へ近接しているので、農家も含め一般に町外へ通勤する者が多く、宅地開発も盛んになっている。宝暦(ほうれき)治水(1755)の際の薩摩(さつま)義士の墓など史跡が残る。面積22.33平方キロメートル、人口9654(2020)。

[上島正徳]

『『輪之内町史』(1981・輪之内町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「輪之内」の意味・わかりやすい解説

輪之内[町] (わのうち)

岐阜県南西部,安八(あんぱち)郡の町。人口1万0028(2010)。濃尾平野の南西部にあり,東を長良川,西を揖斐(いび)川にはさまれた三角州上に位置する。大榑(おおぐれ)川が町の南辺を流れて揖斐川に注ぐ。低湿地で,町全体が堤防に囲まれ福束(ふくづか)輪中を形成し,町名もこれにちなむ。水害に悩まされ続けてきたが,江戸時代以降は次々に新田開発が行われた。1900年竣工の木曾川下流改修工事により治水問題は抜本的に解決され,明治・大正期には大地主への土地集中が顕著で,小作地率の高い輪中地域の一画をなした。西濃の穀倉地帯で,米作を中心に野菜栽培や畜産が行われているが,大垣市羽島市への通勤者も多い。町内には宝暦治水工事の史跡や薩摩藩士の墓が残る。
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百科事典マイペディア 「輪之内」の意味・わかりやすい解説

輪之内[町]【わのうち】

岐阜県南西部,安八(あんぱち)郡の町。揖斐(いび)川長良川に囲まれた福束輪中(ふくづかわじゅう)にあり,長い間水害に悩まされたが,土地改良により湿田は乾田化して米作地となった。施設園芸,畜産なども行う。大垣市や羽島市への通勤者も多い。22.33km2。1万28人(2010)。

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