電解質溶液相の内部に電位こう(勾)配があるときには,溶液中の陽イオンは電位の低い方向に,また陰イオンは電位の高い方向に移動する。その結果,全体としては,電位の高いほうから低いほうに向かって正の電荷が運ばれて,それが電流として観測される。時間dtの間に運ばれる正電荷の全量をdQ,特定のイオンiによって運ばれる電荷の絶対値をdQiとするとき,dQi/dQの値をイオンiの輸率という。イオンiが運ぶ電荷dQiは,電位こう配下におけるiの移動速度(移動度)とiの濃度との関数であるから,イオンの輸率は,一般には,溶液の組成によって変化する。最も簡単な例として,塩化ナトリウムNaCl以外の電解質を含まない水溶液中におけるナトリウムイオンNa⁺の輸率t+は
t+=u+/(u++u-)=λ+/Λ
で与えられる。ここで,u+およびu-はナトリウムイオンNa⁺および塩化物イオンCl⁻の移動度,λ+はNa⁺のモル導電率,ΛはNaClのモル導電率である。
執筆者:玉虫 伶太
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
全電流密度に占めるある荷電担体による部分電流密度の比率.電解質中におけるイオン伝導においては,あるイオンの電気泳動による部分電流密度の全イオンによる電流密度に対する比を,そのイオンの輸率という.イオンiのイオン価を zi,その移動度を ui,濃度を ci とすれば,i種イオンの輸率 ti は次式で定義される.
ただし,Σ は溶液中に含まれるすべてのイオン種についての総和である.輸率の測定法には大別して,
(1)ヒットルフ(Hittorf)法,
(2)動界面法,
(3)液-液界面を含む濃淡電池の可逆電圧を用いる方法,
の3種類がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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