辰巳柳太郎(読み)タツミリュウタロウ

デジタル大辞泉 「辰巳柳太郎」の意味・読み・例文・類語

たつみ‐りゅうたろう〔‐リウタラウ〕【辰巳柳太郎】

[1905~1989]俳優兵庫の生まれ。本名、新倉武一。豪放な芸風で、島田正吾とともに新国劇を支えた。当たり役は「国定忠治」「月形半平太」など。

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精選版 日本国語大辞典 「辰巳柳太郎」の意味・読み・例文・類語

たつみ‐りゅうたろう【辰巳柳太郎】

  1. 俳優。兵庫県に生まれる。本名新倉武一。豪放な芸風で、島田正吾とともに新国劇の双璧となる。当たり役は「国定忠治」「月形半平太」など。明治三八~平成元年(一九〇五‐一九八九

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「辰巳柳太郎」の解説

辰巳 柳太郎
タツミ リュウタロウ


職業
俳優

本名
新倉 武一

別名
前名=東 吾作,辰巳 吾作

生年月日
明治38年 4月20日

出生地
兵庫県 赤穂郡坂越村(赤穂市)

学歴
関西甲種商中退

経歴
旅まわりを経て、大正15年坪内士行らの宝塚国民座に入り、東吾作を名乗る。昭和2年新国劇に入座、「井伊大老の死」の駕籠かきが初役。辰巳吾作、のち柳太郎と称す。4年創始者沢田正二郎の急死後、島田正吾とともに抜擢される。以来、“辰巳の剛”と“島田の柔”、“天才肌の辰巳”“学究肌の島田”と比較され異なる個性を持つ終生のライバルとなった島田とともに二枚看板として活躍、新国劇を隆盛に導く。国定忠治、宮本武蔵、「大菩薩峠」の机竜之介、「王将」の坂田三吉、「無法松の一生」の松五郎、どぶろくの辰などが当たり役。芸風は、天衣無縫で豪放。劇団新国劇は54年に一度倒産、その後再建したが、苦しい経営が続き、62年創立70周年を機に解散となった。その後は自ら東宝系諸劇場や明治座などに、重要な脇役として活躍。また戦後映画にも出演、「どぶろくの辰」「武蔵小次郎」「国定忠治」「沓掛時次郎」「平手造酒」「消えた中隊」「王将一代」「関の弥太っぺ」「江戸一寸の虫」など数多く主演した。晩年は味わいのある老人役で多くのテレビドラマにも出演した。

受賞
紫綬褒章〔昭和44年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和51年〕 長谷川伸賞(第17回)〔昭和57年〕,松尾芸能賞(演劇特別賞 第4回)〔昭和58年〕,上方芸能人顕彰(平11年度)〔平成12年〕

没年月日
平成1年 7月29日 (1989年)

家族
長女=新倉 美子(元ジャズ歌手)

伝記
芝居の神様―島田正吾・新国劇一代新国劇終幕の思想―演劇人の死みごとな幕切れふり蛙―新国劇70年あれこれ 吉川 潮 著真鍋 秀夫 著北川 登園 著戸板 康二 著島田 正吾 著(発行元 新潮社元就出版社白水社三月書房朝日新聞社 ’07’05’93’90’88発行)

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20世紀日本人名事典 「辰巳柳太郎」の解説

辰巳 柳太郎
タツミ リュウタロウ

昭和期の俳優



生年
明治38(1905)年4月20日

没年
平成1(1989)年7月29日

出生地
兵庫県赤穂郡坂越村(現・赤穂市)

本名
新倉 武一

別名
前名=東 吾作,辰巳 吾作

学歴〔年〕
大阪市立関西甲種商業学校中退

主な受賞名〔年〕
紫綬褒章〔昭和44年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和51年〕,長谷川伸賞(第17回)〔昭和57年〕,松尾芸能賞(演劇特別賞 第4回)〔昭和58年〕,上方芸能人顕彰(平11年度)〔平成12年〕

経歴
旅まわりを経て、大正15年坪内士行らの宝塚国民座に入り、東吾作を名乗る。昭和2年新国劇に入座、「井伊大老の死」の駕籠かきが初役。辰巳吾作、のち柳太郎と称す。4年創始者沢田正二郎の急死後、島田正吾とともに大抜擢され、後継者の道を歩み、新国劇を隆盛に導く。国定忠治、宮本武蔵、「大菩薩峠」の机龍之介、「王将」の坂田三吉、「無法松の一生」の松五郎、どぶろくの辰などが当たり役。芸風は、天衣無縫で豪放。劇団新国劇は54年に一度倒産、その後再建したが、苦しい経営が続き、62年創立70周年を機に解散となった。その後は自ら東宝系諸劇場や明治座などに、重要な脇役として活躍。また戦後は映画にも出演、「どぶろくの辰」「武蔵と小次郎」「国定忠治」「沓掛時次郎」「平手造酒」「消えた中隊」「王将一代」「関の弥太っぺ」「江戸一寸の虫」など数多く主演した。晩年は味わいのある老人役で多くのテレビドラマにも出演した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「辰巳柳太郎」の意味・わかりやすい解説

辰巳柳太郎
たつみりゅうたろう
(1905―1989)

俳優。兵庫県生まれ。本名新倉武一。大阪の商業学校中退後、旅回りの一座に加わり、のち宝塚国民座に東吾作の名で加わったが、1927年(昭和2)沢田正二郎を慕って新国劇に入座。沢田の辰年、彼の巳年生まれにちなんで辰巳吾作と改名、さらに辰巳柳太郎を名のる。29年3月の沢田急逝後、無口で沈着な島田正吾に対して、明るく豪放な辰巳を組み合わせようという劇団の方針で大抜擢(ばってき)され、『国定忠治』『大菩薩峠(だいぼさつとうげ)』『宮本武蔵(むさし)』『無法松の一生』『王将』などを当り役に、島田とともに新国劇の興隆と存続に尽くした。

[藤田 洋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「辰巳柳太郎」の意味・わかりやすい解説

辰巳柳太郎
たつみりゅうたろう

[生]1905.4.20. 兵庫
[没]1989.7.29. 東京
俳優。本名新倉武一。画家志望であったが俳優になり,1927年宝塚国民座から新国劇へ入った。新国劇の創立者沢田正二郎の急死後,風貌が沢田に似ていたことから大部屋より抜擢され,先輩の島田正吾とともに同座の二本柱となり,その維持,発展に尽した。沢田のレパートリーを継承した『国定忠治』『月形半平太』『大菩薩峠』などのほか『無法松の一生』が知られる。第2次世界大戦後の代表作は北条秀司作『王将』や吉川英治原作『宮本武蔵』など。剣劇の豪放さと人情味をあわせもち人気を得た。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「辰巳柳太郎」の解説

辰巳柳太郎 たつみ-りゅうたろう

1905-1989 昭和時代の俳優。
明治38年4月20日生まれ。昭和2年沢田正二郎にあこがれ新国劇にはいり,辰巳吾作ついで柳太郎を名のる。4年沢田の急死後抜擢(ばってき)され,島田正吾とともに新国劇の隆盛につくした。当たり役は国定忠治,「王将」の坂田三吉など。また映画でも活躍。平成元年7月29日死去。84歳。兵庫県出身。本名は新倉武一。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「辰巳柳太郎」の解説

辰巳柳太郎
たつみりゅうたろう

1905.4.20~89.7.29

昭和期の俳優。兵庫県出身。本名新倉武一。1927年(昭和2)新国劇に入団。29年の沢田正二郎死後,島田正吾とともに新国劇のスターとして活躍。「王将」「国定忠治」「宮本武蔵」などが代表的舞台。映画やテレビでも独特の演技で定評があった。

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367日誕生日大事典 「辰巳柳太郎」の解説

辰巳 柳太郎 (たつみ りゅうたろう)

生年月日:1905年4月20日
昭和時代の俳優
1989年没

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世界大百科事典(旧版)内の辰巳柳太郎の言及

【新国劇】より

…24年に金井,田中らが沢田の相手役として活躍していた女優の久松喜世子(きよこ)(1886‐1977)と対立して退団,翌年には渡瀬淳子が離れたが,高田保脚色《白野弁十郎》(《シラノ・ド・ベルジュラック》の翻案・脚色),真山青果《桃中軒雲右衛門(とうちゆうけんくもえもん)》などで大衆劇の新境地を開き,前進を続けた。しかし,29年3月4日に沢田が急死,劇団は一時,危機に見舞われるが,若い島田正吾(1905‐ )と辰巳柳太郎(たつみりゆうたろう)(1905‐89)の抜擢が功を奏して人気を呼び,引き続き劇界に確固たる地位を占めた。第2次世界大戦中は吉川英治原作の《宮本武蔵》などで切り抜け,戦後は北条秀司(ほうじようひでじ)(1902‐96)の《王将》《霧の音》などの名作を得て人気を保ってきたが,創立50周年を迎えたころから,大幹部の島田,辰巳の高齢化,若手の脱退で衰退にむかい,79年9月,株式会社新国劇は倒産。…

【月形半平太】より

…1919年(大正8)5月京都明治座で沢田正二郎が月形に扮し初演。以来,辰巳柳太郎ら新国劇のレパートリーの一つとなった。長州藩士の月形が勤王の大義のため身命をなげうつ筋に,芸妓染八との恋や立回りをあしらった大衆劇で,人物の性格・心理よりも事件を描いたメロドラマ性が大衆に喜ばれ,舞妓梅松に言う月形のせりふ〈春雨じゃ,濡れてゆこう〉が著名となった。…

※「辰巳柳太郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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