月形半平太(読み)ツキガタハンペイタ

デジタル大辞泉 「月形半平太」の意味・読み・例文・類語

つきがたはんぺいた【月形半平太】

行友李風ゆきともりふう戯曲。4幕。大正8年(1919)沢田正二郎らの新国劇により初演幕末京都背景にした、長州藩士月形半平太を取り巻く恋と剣の物語で、劇中の「春雨じゃ濡れて行こう」の台詞せりふ有名モデル武市瑞山たけちずいざん通称、半平太)とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「月形半平太」の意味・読み・例文・類語

つきがたはんぺいた【月形半平太】

行友李風(ゆきともりふう)作の戯曲。大正八年(一九一九)新国劇により初演。主人公の長州藩士月形半平太は酒と女におぼれると見せて勤王に力を尽くすが、友人策略新撰組に襲われて死ぬ。「春雨じゃ、濡れて行こう」の台詞(せりふ)が有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「月形半平太」の意味・わかりやすい解説

月形半平太 (つきがたはんぺいた)

行友李風(ゆきともりふう)作の戯曲《月形半平太》の主人公。1919年(大正8)5月京都明治座で沢田正二郎が月形に扮し初演。以来,辰巳柳太郎ら新国劇のレパートリーの一つとなった。長州藩士の月形が勤王の大義のため身命をなげうつ筋に,芸妓染八との恋や立回りをあしらった大衆劇で,人物の性格・心理よりも事件を描いたメロドラマ性が大衆に喜ばれ,舞妓梅松に言う月形のせりふ〈春雨じゃ,濡れてゆこう〉が著名となった。いわゆる剣劇の代表的ヒーローといえよう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「月形半平太」の意味・わかりやすい解説

月形半平太
つきがたはんぺいた

行友李風(ゆきともりふう)の戯曲。四幕。1919年(大正8)5月京都・明治座で沢田正二郎ら新国劇により初演。長州藩士の月形半平太は、茶屋に入りびたって酒と女に明け暮れている。月形は同志たちに軽挙妄動を慎んで自重せよと説くが、彼の真意を解しえなかった朋友(ほうゆう)の策略で、新撰(しんせん)組に襲われ、死して護国の鬼となるの辞世を残して息絶える。若き剣士にまつわる祇園(ぎおん)の芸妓(げいぎ)梅松と染八。恋あり剣ありの華やかな作品で、「春雨じゃ濡(ぬ)れて行こう」の台詞(せりふ)は有名である。歌舞伎(かぶき)式に下座(げざ)を用いるのをはじめとして、随所に様式的演出がみられる。新国劇の型物として『国定忠治』と双璧(そうへき)をなし、半平太の役は沢田没後、辰巳(たつみ)柳太郎から大山勝巳へと継承された。映画化も多い。

[土岐迪子]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「月形半平太」の解説

月形半平太 つきがた-はんぺいた

行友李風(ゆきとも-りふう)の同名の戯曲の主人公。
倒幕に奔走する幕末の長門(ながと)萩(はぎ)藩士。武市瑞山(たけち-ずいざん)(半平太)がモデルとされる。大正8年京都明治座で新国劇の沢田正二郎が初演し,当たり役となった。「春雨だ,ぬれてゆこう」の台詞(せりふ)で有名。

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デジタル大辞泉プラス 「月形半平太」の解説

月形半平太

1933年公開の日本映画。監督:伊藤大輔、原作:行友李風による同名戯曲、脚色:西原孝、撮影:松村禎三。出演:大河内伝次郎、山田五十鈴、沢田清、沢村国太郎、松枝鶴子、山本礼三郎ほか。

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