沿岸国が,自国の内水,群島水域(群島国家の場合),領海において,また状況によっては自国の接続水域,排他的経済水域,大陸棚の上部水域において,外国船舶が自国の法令に違反したと信じるに足りる十分な理由があるとき,その船舶を公海上まで追跡し拿捕(だほ)することができる国際法上の権利。この追跡は,外国船舶が沿岸国の上記の水域内にあるときに開始され,以後中断されることなく公海上まで継続されなければならないので,継続追跡hot pursuitの権利ともよばれる。追跡された船舶がその旗国または第三国の領海に入ったとき,追跡権は消滅する。
追跡権は,まず内水・領海につき慣習法上の権利として成立したが,1958年の〈公海に関する条約〉は,接続水域についても,当該接続水域の設定によって保護しようとする権利の侵害の場合に限って,追跡権を認めた。さらに82年に成立した新海洋法条約は,排他的経済水域および大陸棚の上部水域についても,当該経済水域や大陸棚に適用される沿岸国法令の違反の場合に限って追跡権を認めた。また,新設の群島水域についても,内水に準じる性格の水域として,当然に追跡権が認められた。
追跡は,沿岸国の軍艦や軍用航空機によって,あるいは追跡の権限をとくに与えられた政府の公務に使用されている船舶や航空機によってなされなければならない。
執筆者:尾崎 重義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加