連通管(読み)レンツウカン

デジタル大辞泉 「連通管」の意味・読み・例文・類語

れんつう‐かん〔‐クワン〕【連通管】

二つまたはそれ以上の容器の底を管で連結し、液体などが自由に流通できるようにしたもの。U字管など。

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精選版 日本国語大辞典 「連通管」の意味・読み・例文・類語

れんつう‐かん ‥クヮン【連通管】

〘名〙 上端を開いた二つ以上の器の底部と底部を管でつなぎ、液体が自由に通れるようにしたもの。その最も簡単なものがU字管。水位計などに使われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連通管」の意味・わかりやすい解説

連通管
れんつうかん

二つ以上の容器の底を管でつなぎ、中に入れた液体が自由に各容器へ動けるようにした道具のこと。U字管はその典型的な例である。連通管に1種類の液体を入れると、各容器の液面の高さは、容器の管の太さや形にかかわりなくすべて同じになる。これは、静止した流体には圧力しか働かず、その圧力はどの方向にも一定である、というパスカル原理から理解できる。たとえば、にあるように管A'でつながった二つの容器A、Bに水を入れる。Aの容器の管の面積をsAとすると底面にかかる力は、大気圧を除くとFA=ρghAsA(ρは水の密度)であり、圧力はpAFA/sA=ρghAである。一方Bの容器では、斜線部分の水の重量しか底面にかからない。それ以外の部分の重量は容器の側壁が支えている。したがって、底面の面積をsBとすると、かかる力FB=ρghBsBはAより大きいが、圧力はpBFB/sB=ρghBである。二つの容器を結んでそこに水を入れたとき、A'面での左右の圧力は同じであるからpApBでなければならない。このことからhAhBで、つまり、管の太さや形に関係なく、1種類の液体のときは同じ高さになる。

 このように連通管に液体を入れると、各管の底面の圧力が等しくなるよう液体の高さが互いに調節される。底面の圧力は、液の上面の圧力p0と液の重量からの圧力ρghの和である。ピトー管ベンチュリー管は、液の上面にかかる圧力の差が異なることを利用している。密度の異なる2種類の液体をおのおのの管に入れ、上面の圧力を同じにすると、二つの液面の高さの比は、密度の比によってhA/hB=ρBAとなる。4℃の水を一方にとれば、液体の比重が高さの比から決められる。

池内 了]


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改訂新版 世界大百科事典 「連通管」の意味・わかりやすい解説

連通管 (れんつうかん)
communicating vessel

二つ以上の管の底部を連絡して,中に入った液体が自由に移動できるようしたもの。2本の管の底部をつないでU字形にしたU字管やV字形のV字管はその代表的なものである。あまり細くない連通管内で同一密度ρの液体が静止しているとき,二つの管の液面の高さの差hは,それぞれの液面での圧力をp1p2,gを重力の加速度とすると,

 h=(p2p1)/ρg

で与えられるので,一方の圧力がわかっていれば,h測定から他方の圧力を知ることができる。また,密度がそれぞれρ1,ρ2で互いに混じり合わない液体を入れたとき,両液の接触面より上方の両液中の高さがh1h2となったとすれば(図),p1p2の場合にはρ1h1=ρ2h2の関係があるので,一方の密度が既知であれば他方の密度が求まる
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百科事典マイペディア 「連通管」の意味・わかりやすい解説

連通管【れんつうかん】

二つまたは二つ以上の容器の底部を管で連結し,液体が自由に流通できるようにしたもの。U字管もその一種。1種類の液体が平衡状態にあるときは,各容器の太さ・形状にかかわらず液面はすべて同一の水平面にある。液面計,圧力計,密度測定などに利用。
→関連項目水準器

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世界大百科事典(旧版)内の連通管の言及

【圧力計】より

…実際の圧力計測では,測定原理の違いのほか,圧力範囲,精度,用途,使用環境,圧力媒体,動的特性などの違いに応じて,さまざまな構造や形状の圧力計が用いられている。
【各種圧力計の原理,構造】

[液柱型圧力計]
 連通管に水銀,水,油などの液体を入れ,測ろうとする二つの系の圧力を連通管の両枝にそれぞれ導くと,液柱はその重量が圧力の差につり合う高さで停止する。このときの両液面の高さの差(液柱の高さという)を測定して圧力の差を求めるもの(図1)。…

※「連通管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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