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道徳感覚 どうとくかんかくmoral sense

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

道徳感覚
どうとくかんかく
moral sense

具体的な行為や出来事にあたって,直覚的かつ確実に善悪を識別する能力。 18世紀イギリスのモラリストスコットランド学派 (→常識哲学 ) の哲学者によって措定されたもので,良心と等しい。代表的主張者は T.シャフツベリー,F.ハチソン,D.ヒューム。良心を一種の感覚とみて,道徳的判断に明証性を認めたが,反面それを本能的な衝動と同次元に引下げることにもなった。カントがこの点を批判したほか,フランスの折衷学派がこの概念を継承した。

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大辞林 第三版の解説

どうとくかんかく【道徳感覚】

善悪や正邪を直覚的に識別できる、人間に備わった感覚。モラル-センス。 → 道徳感覚説

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

道徳感覚
どうとくかんかく
moral sense英語
sittlicher Sinnドイツ語
sens moralフランス語

道徳的正邪、善悪、有徳、悪徳などの判定の能力として人間に備わると考えられる感覚をいう。とくに18世紀前半のイギリスでシャフツベリ伯、ハチソン、バトラーらの道徳感覚学派とよばれる一群の道徳思想家はその存在を主張した。ヒューム、A・スミスなどにも同種の傾向を認めるときがある。歴史的背景としては、個人の内面の光や良心を伝統的権威よりも重んじたプロテスタンティズムなども考えられるが、とくに17~18世紀以降では宗教的背景を離れて人間本性に根ざす道徳感覚が重視された。たとえば、シャフツベリは、他人の幸福を願う自然の愛情としての「仁愛(じんあい)」の源泉である道徳感覚の存在を主張し、これを「正邪の感覚」とよんだ。ハチソンはこの見解を心理的解釈のもとに組織化し、バトラーは「自愛」以外の道徳感覚として「良心」の存在を説く。ヒュームの、愛憎の変形としての道徳感情や共感も類似の系統にたつ。[杖下隆英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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