遠人(読み)とおつひと

精選版 日本国語大辞典 「遠人」の意味・読み・例文・類語

とおつ‐ひと とほつ‥【遠人】

(「つ」は「の」の意の古い格助詞)
遠方にいる人を待つ意で、「待つ」と同音を含む「松」、および、地名松浦(まつら)」にかかる。
万葉(8C後)五・八五七「等富都比等(トホツヒト)松浦の川に若鮎(わかゆ)釣る妹がたもとをわれこそ巻かめ」
② 遠い北方から飛来する雁を擬人化して、「雁」および「雁」と同音を含む地名「猟道(かりぢ)」にかかる。蘇武故事による「雁の使い」の意をこめているともいう。
※万葉(8C後)一二・三〇八九「遠津人(とほつひと)猟道(かりぢ)の池に住む鳥の立ちても居ても君をしそ思ふ」

とお‐びと とほ‥【遠人】

〘名〙
① 命の長い人。長寿の人。高齢者
書紀(720)仁徳五〇年三月・歌謡たまきはる 内の朝臣 汝こそは 世の等保臂等(トホヒト) 汝こそは 国の長人
② 遠方の人。遠く隔たっている人。
※まひる野(1905)〈窪田空穂〉あこがれ「われよ狂ふ市に遠人(トホヒト)望みては君もや来ると心をどりて」

えん‐じん ヱン‥【遠人】

〘名〙 遠く離れた人。遠国の人。外国人をもいう。〔文明本節用集(室町中)〕
随筆・折たく柴の記(1716頃)下「唐人等かくのごとくになり来りし事は、貞享・元祿の際より遠人を柔(やす)んじ給ふ御事にこそあるらめ」 〔書経‐旅獒〕

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普及版 字通 「遠人」の読み・字形・画数・意味

【遠人】えん(ゑん)じん

遠方の人。〔中庸、二十百工を來(きた)せば、則ち財用足る。人を柔らぐれば、則ち四方之れに歸す。

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