遠隔地商業(読み)えんかくちしょうぎょう

山川 世界史小辞典 改訂新版 「遠隔地商業」の解説

遠隔地商業(えんかくちしょうぎょう)

遠隔地間の価格の差異を利用して利潤をあげる商業形態。その歴史は古代にまでさかのぼるが,12世紀以降はヨーロッパイスラーム世界インド洋,中央ユーラシア,中国を結ぶ商業ネットワークが形成され,中国の陶磁器東南アジア香辛料インド綿布,イスラーム世界の砂糖,ガラス,貴金属製品などが取引された。16世紀以降のヨーロッパ列強は,武力をもってこの商業ネットワークに参入し,アジア,アフリカ諸国の植民地化を推し進めた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「遠隔地商業」の解説

遠隔地商業
えんかくちしょうぎょう

主としてヨーロッパの中世中期から後期にかけての遠距離貿易をさす概念
12世紀から,いわゆる商業ルネサンス(商業の復活)によって,都市商人中心とする遠隔地商業の発展がみられた。北海・バルト海の貿易圏,地中海貿易圏,両者を結ぶライン・ドナウ川流域の貿易路などで,香料・貴金属・絹織物毛織物木材毛皮魚類などが取り引きされた。都市と周辺農村との間の日用品の取引とは違い,遠距離交通の未発達を利用した奢侈品取引による投機的利潤の獲得をめざすもので,都市繁栄の基盤となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遠隔地商業」の意味・わかりやすい解説

遠隔地商業
えんかくちしょうぎょう
Fernhandel; interlocal trade

ヨーロッパの中世後期に展開された遠隔地間の交易形態。イタリアの都市を中心とするレバント貿易ハンザ同盟を中心とするバルト海,北海貿易,およびこの南北商業圏を結ぶ内陸商業がそのおもな内容をなす。商業,金融に基盤をおく初期資本主義の発展がこれによって大いに促進された。

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