デジタル大辞泉 「遣す」の意味・読み・例文・類語 おこ・す【▽遣す/▽致す】 [動サ下二]1 よこす。届けてくる。「講師、もの、酒―・せたり」〈土佐〉2 (動詞の連用形に付いて)その動作が自分の方へ及ぶことを表す。こちらへ…する。…してくる。「空合はせ(=夢判断)にあらず、いひ―・せたる僧の疑はしきなり」〈かげろふ・下〉[動サ四]《の四段活用化》1に同じ。「極道めが―・しをらぬわい」〈滑・浮世床・初〉 まだ・す【▽遣す】 [動サ四]《「まい(参)る」の連用形に「いだす」の付いた「まいいだす」の音変化か》使いを差し出す。差し上げる。「使ひを―・して天あめの神に白まうす」〈神代紀・上〉 おく・す【▽遣す/▽致す】 [動サ四]《「おこ(遣)す」の音変化》よこす。「(船賃ヲ)それに―・しやらぬ人は、向かふな島へ、うちあげておきまする」〈狂言記・薩摩守〉 こ・す【▽遣す】 [動サ四]つかわす。よこす。「亀屋へ養子に―・すからは」〈浄・冥途の飛脚〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「遣す」の意味・読み・例文・類語 おこ・す【遣・致】 [ 1 ] 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙 こちらに送ってくる。よこす。[初出の実例]「白珠の五百(いほ)つつどひを手にむすび於許世(オコセ)む海女(あま)はむがしくもあるか」(出典:万葉集(8C後)一八・四一〇五)[ 2 ] 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 ( [ 一 ]が室町頃に四段に転じたもの ) [ 一 ]に同じ。[初出の実例]「あまりのおもしろさに、斧の柄のくつるをわすれ、曾我へ人をこして候」(出典:曾我物語(南北朝頃)九)「爰元ではしった者がござなひほどに、はやう代物をおこさせられひ」(出典:虎明本狂言・雁盗人(室町末‐近世初))遣すの語誌下二段活用を本来とするが、中世後期に四段活用が生じる。同じ意味を表わす語に「よこす」があり、室町時代より使用がみられる。「物類称呼‐五」に「つかはせといふ詞を 大坂にて、おこせと云〈略〉江戸にて、よこせと云」とあるように、両語には、関西方言の「おこす」と関東方言の「よこす」という地域的な対立がある。 まだ・す【遣】 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 ( 上一段活用動詞「まいる(参)」の連用形に「いだす」のついた「参(まい)いだす」の変化した語か ) (下位者から上位者へ)使いを差し出す。使いとして差し出す。さしあげる。たてまだす。[初出の実例]「願はくは君の婦(みめ)を賜ひて後に奉遣(マタシ)(〈別訓〉たてまたし)たまへ」(出典:日本書紀(720)雄略五年四月(前田本訓)) こ・す【遣】 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 人や物などをよこす。つかわす。[初出の実例]「筑紫より来たる人にすだれがは請ふを、いまいまとてこさねば」(出典:類従本兼澄集(1012頃)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by