改訂新版 世界大百科事典 「都市風」の意味・わかりやすい解説
都市風 (としかぜ)
都市に特有の風。都市は田園地帯と異なり,高低・大小さまざまの建物があり,そのため都市の上に吹いて来た風は非常に乱される。つまり風向・風速とも場所的にも時間的にも著しく変動する。ことに高層ビルの周辺では,風速が強く乱れも大きい(ビル風という)。また,都市の建物などは風に対して大きな抵抗となるので,平均風速は田園地帯より一般に小さい。都市では舗装された道路,コンクリート等で造られた建物,大量のエネルギー消費などのため,都心の気温は郊外よりも一般に高い(ヒートアイランドといわれる)。そのため都市の上の空気は上昇し,それを補うように地表付近では郊外から都心に向かって風が吹くことになる。一般に,風の弱い晴天の夜などにこの現象が目だつ。
執筆者:竹内 清秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報