中国料理の一つで、日本の人々に広く愛好されている。中国料理名は古滷肉(クールーロウ)、古滷老肉(クールーラオロウ)、糖醋溜塊肉(タンツーリウコワイロウ)という。料理法からいえば溜菜(リウツァイ)(油で揚げたもの、または炒(いた)めたものにあんをかけた料理)の一種で、一般に溜菜はもっとも中国料理らしいものとされる。あんをかけると舌に滑らかな感触を与え、また熱いものが冷めにくくなるので美味で、日本人の好みにあう。作り方は、豚肉を1.5センチメートル角に切り、酒、しょうゆをまぶしてしばらく置く。これにかたくり粉をよくまぶして、一切れずつ油で揚げておく。野菜としてはタケノコ、シイタケ、タマネギ、ニンジン、ピーマンなどをそれぞれ一口ぐらいの大きさに切り、タケノコ、ニンジンはゆでておく。中華鍋(なべ)に油を熱して野菜をそれぞれ炒め、緑色のものは除いて、炒めた野菜全部を鍋に返す。これに少量のスープと酒、しょうゆ、砂糖を加えて味つけをしてから、揚げた肉も加え、味がまんべんなくいきわたったとき、酢と少量のかたくり粉で濃度をつける。最後に緑色のピーマンを加えて仕上げ、温めておいた器に盛り付けて供する。この料理は、酢と砂糖のきいた濃厚な味のほうがよい。また、酢を加えてからは手早く仕上げないと肉が硬くなるので、とくに注意を要する。好みによっては肉の下味におろしショウガやニンニクを用いてもよく、家常菜(チヤチャンツァイ)(総菜(そうざい))にも宴会席にも本菜としてよい。
[野村万千代]
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