とろみ(読み)トロミ

デジタル大辞泉 「とろみ」の意味・読み・例文・類語

とろみ

軽くねばる状態。とろりとした状態。料理にいう。「ソースとろみをつける」

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精選版 日本国語大辞典 「とろみ」の意味・読み・例文・類語

とろ‐み

  1. 〘 名詞 〙 植物いね(稲)」の異名
    1. [初出の実例]「いざや今日小田のとろみを刈りにゆかむ 野分の風にしかれもぞする とろみとは是れは稲を云也。これはあづま言葉なり」(出典:古今打聞(1438頃)中)

とろみ

  1. 〘 名詞 〙 料理で、煮汁などが軽くねばる状態。とろりとした状態。「片栗粉でとろみをつける」

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改訂新版 世界大百科事典 「とろみ」の意味・わかりやすい解説

とろみ

〈とろみ〉は停止の意で,潮がとまった状態をさし,満潮のとまりを〈たたえどろみ〉,干潮のとまりを〈ひどろみ〉などというが,漁業では,カツオイナダなどの群れが水面にあふれ,一帯が黒く見えるようになっていることをいう。これは夏,炎天の海面が油を流したときのように静かなときに多く生ずるからであろう。魚は跳ね回ったり,ぐるぐる回ったりし,水がすり鉢形に中くぼみになることもあるので,〈まきどろみ〉〈まきいお〉〈すりばちいお〉などともいわれる。海面の状態から魚群の往来,状態を推定することはよく行われ,ほかにも〈あわ〉(イワシなどの吹き出す泡が水面に浮かぶ),〈いろ〉(白み・黒み・赤みなど魚群の集まりぐあいで水色が変化する),〈ひき〉あるいは〈しき〉(夜間,海中ヤコウチュウなど発光生物の光る様子から海中での魚群の動きを推定する),〈わき〉(魚群が表層に密集して水面が盛り上がる),〈せり〉(イワシなどの群れによって海面がざわざわ泡立つ)など,いろいろの語が漁業者に伝承されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「とろみ」の意味・わかりやすい解説

とろみ
pod

かつお,さば,いわしなどの群が浮遊した直後,海面に生じるさざなみと微風によって起るさざなみとが互いに干渉して消し合い,水面が油を流したようになる状態のこと。魚類が密集して,水面に浮上し,体を横にして腹面を現したり,はね回ったりするので,水面が少し赤みを呈する。夏の炎天下によくみられる。熟練した漁夫は遠方からこれを発見することができる。

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世界大百科事典(旧版)内のとろみの言及

【潮】より

…海水やその性質,海水の流れ,潮汐などを表す語。例えば黒潮,親潮,あるいは潮が甘いなどの〈潮〉は第1の意味合いを,潮波の〈潮〉は第2の意味合いを,潮がさすや潮時の〈潮〉は第3の意味合いをもっている。【寺本 俊彦】
[民俗]
 潮の干満や速度,流れなど,海に生きる人々にとって,むかしから強い関心がもたれてきた。とりわけ操船上,潮の動きは重要であり,舟人や漁民の間では潮にかかわる語彙は豊富である。デシオ,イリシオをはじめ,干満などによる潮の流れのない状態をトロミ,潮が出合って波立つところをシオザイと呼び,干潮のヒオチまたはソコチ,満潮のタタエなどとともに,広い範囲で用いられる語彙が多い。…

※「とろみ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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