重力レンズ(読み)じゅうりょくれんず

知恵蔵mini「重力レンズ」の解説

重力レンズ

巨大な重力が空間に歪みを起こして光の経路を曲げ、レンズのように作用する現象。アインシュタイン一般相対性理論によって説明されて以後天体がつくる重力場を通る光を遠方から観測すると、光が屈折するように見えるケースが多数確認されてきた。2018年4月2日、米カリフォルニア大や東京大、東北大などの国際研究チームが90億光年先の恒星「イカロス」をハッブル宇宙望遠鏡で観測することに成功した例は、手前にある銀河団の強い重力がレンズの役割を果たしたため、最大で約二千倍以上に光されたことが原因だとされる。また、銀河団の重量には、宇宙の質量大半を構成すると考えられる暗黒物質(ダークマター)が関わっている可能性もあり、重力レンズの効果を用いて暗黒物質の解明が進むことも期待される。

(2018-4-5)

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百科事典マイペディア「重力レンズ」の解説

重力レンズ【じゅうりょくレンズ】

大きな重力場を通ってくる光が曲げられること。凸レンズを通過したときのように曲がることからこの名がある。理論的には一般相対性理論から導かれる現象で,1919年A.S.エディントンが一般相対性理論の検証を目的に,太陽のまわりに見える星で観測を試みている。太陽よりもはるかに質量の大きい銀河や銀河団の大きな重力場を通ってくる光は,より大きく曲げられるはずである。たとえば二重クエーサーQ0957+561は,重力レンズの効果によって一つのクエーサーが二つあるように観測されたものとして説明されている。

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デジタル大辞泉「重力レンズ」の解説

じゅうりょく‐レンズ〔ヂユウリヨク‐〕【重力レンズ】

gravitational lens》巨大な重力をもつ天体が光の経路を曲げ、レンズのようなはたらきをする現象。アインシュタイン一般相対性理論から導かれる現象で、宇宙の極めて遠方にあるクエーサーからの光が、途中の銀河・銀河団など大きな重力をもつ天体のそばを通ると、クエーサーの像が拡大されたり、二つ、三つ、多いもので六つに分離して見えたりする。円環状もしくは弧状に見える像はアインシュタインリングと呼ばれる。また、遠方の天体の見かけの明るさが増すマイクロレンズ効果も同様の仕組みで起こる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「重力レンズ」の解説

重力レンズ
じゅうりょくれんず
gravitational lens

重力が空間をゆがめるため光が曲げられ、重力がレンズのような作用をする現象。天体がつくる重力場を通る光を遠方から観測すると、光が屈折するようにみえる。たとえばクエーサーのなかには、手前にある銀河の重力レンズのはたらきで複数の像をつくるものが発見されている。宇宙全体が重力レンズである可能性もある。その場合、光は空間的に閉じた経路を通ることになり、過去と現在の姿が重なってみえることになる。

[広瀬立成]

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世界大百科事典内の重力レンズの言及

【恒星状天体】より

…AはBより約25%明るいが,この明るさの比は光でも電波でも同じで,さらに分光器でスペクトルを観測したところ,両者とも輝線の赤方偏移1.405,吸収線の赤方偏移1.390が得られた。天球上AとBを結ぶ線上でBに近く,赤方偏移0.36の銀河が検出されており,この銀河の重力レンズ作用によって,遠方の1個の恒星状天体が二つの像に分解されたと解釈されている。【寿岳 潤】。…

※「重力レンズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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