重力波を検出するための装置。宇宙のかなたを知るための研究は長らく、天体が放出して地球に届く可視光や赤外線、エックス線、電波などの電磁波を観測する望遠鏡に頼ってきた。今後は新たな観測対象として素粒子ニュートリノや重力波を加えた、より多面的な「マルチメッセンジャー天文学」が進展すると期待されている。日本の「かぐら」を含めた複数の重力波望遠鏡が稼働すれば、重力波の発生源の位置が正確に分かるようになる。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
一般相対性理論で予言される重力波の検出器。望遠鏡とよばれるが、光学望遠鏡や電波望遠鏡とは検出方法の違いにより、形状が異なる。測定方法により検出器には共振型とレーザー干渉計型がある。共振型検出器は弾性体の共鳴振動を利用して重力波を検出する。レーザー干渉計型はマイケルソン干渉計型が多く、重力波望遠鏡の主流方式となっている。マイケルソン干渉計型はレーザー光を2方向に分けて、再度あわせる際に生じる二つの光の位相差により生じる干渉縞(じま)を観測する方式である。その光の位相差は分岐する光路長に応ずるので、長い光路長を達成するために、基線長(光分岐点から反射鏡までの距離)を長くしたり、基線間を何回も往復させるくふう(ファブリペロー型)を行っている。
数多くの重力波望遠鏡が稼働もしくは計画されているが、重力波が非常に弱いことから、確定的な観測は2015年9月、アメリカのマイケルソン干渉計型重力波望遠鏡LIGO(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)による検出まで待たなければならなかった。
日本では、1999年(平成11)から稼働している基線長300メートルの「TAMA300」(東京都三鷹市)と2020年(令和2)稼働の基線長3000メートルの「KAGRA」(岐阜県飛騨(ひだ)市)がある。
世界では、前述のアメリカの基線長4000メートルのLIGO、イギリスとドイツ共同の基線長600メートルのGEO600、フランスとイタリアおよびオランダ共同の基線長3000メートルのVIRGOがある。
また、より長い基線長を目ざし、宇宙空間での観測が計画されている。NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)とESA(イーサ)(ヨーロッパ宇宙機関)が共同で計画しているLISA(Laser Interferometer Space Antenna)は三つの人工惑星で構成され、基線長は500万キロメートルである。日本でもDECIGO(Deci-hertz Interferometer Gravitational Wave Observatory)という基線長1000キロメートルの宇宙重力波望遠鏡が計画されている。
[編集部 2023年10月18日]
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