日本大百科全書(ニッポニカ) 「野辺山高原」の意味・わかりやすい解説
野辺山高原
のべやまこうげん
長野・山梨県境、八ヶ岳連峰(やつがたけれんぽう)の東麓(とうろく)に展開する高原。標高1300メートル前後で、野辺山原ともいう。厳冬期には-20℃以下となる高冷地で、盛夏でも25℃に達しない。近世は佐久甲州街道(さくこうしゅうかいどう)(国道141号)が通じ、幕府は行路者救済のためお助け集落(南佐久郡南牧村板橋)を設けた。低温と酸性の火山灰土壌、および乏水のため長く原野であったが、長野県側では昭和初年に開拓者が入り、第二次世界大戦後全国からの入植者により全面的に開拓された。現在は日本の代表的高原野菜の産地で、夏産のレタスは東京市場の60%を占める。牧場もあり、広大な高原には野菜畑やサイロのある酪農家が点在する。山梨県側は農業開拓はほとんどなく、カラマツや雑木林の中に学校の寮や民宿が点在する典型的な高原保養地。なお、東日本旅客鉄道小海(こうみ)線野辺山駅西方は標高1346メートルで、日本の鉄道の最高所である。
[小林寛義]