…その後基衡,秀衡も相次いで寺基を拡張した。当時の記録によれば,堂塔40余宇,僧坊300余宇と伝えられ,結構皆金色と称され,平安美術工芸の粋をきわめたが,1337年(延元2∥建武4)野火のために堂塔僧坊を焼失し,現在に残るものは金色堂と経蔵の二つだけである。最近,中尊寺は,法華経にもとづいて,その講宣・如法の功徳により,みちのく此土浄土(地上極楽)の理想を実現しようとしたものであると考えられるようになってきた。…
… 中尊寺は藤原清衡(きよひら)によって1105年(長治2)に着工され,26年(大治1)3月24日に落慶供養が行われた天台系の寺院で,このときの堂宇は,供養願文によれば三間四面の檜皮葺堂1宇,三重塔3基,二階瓦葺経蔵1宇,二階鐘楼1宇というものであったが,《吾妻鏡》の文治5年(1189)9月17日条では,寺塔60余宇,禅坊300余宇といわれている。しかし奥州藤原氏の滅亡後衰亡し,現在は金色(こんじき)堂をのこすのみである。金色堂は中尊寺落慶供養に先立つ1124年(天治1)8月20日に完成,清衡,基衡(もとひら),秀衡(ひでひら)3代のミイラ化した遺体と,梟首(きようしゆ)された泰衡(やすひら)の首級を三つの須弥壇の下に収めた葬堂(墳墓堂)で,当時みやこで流行のものであった。…
※「金色堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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