金銭貸借(読み)きんせんたいしゃく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

金銭貸借
きんせんたいしゃく

金銭の貸し借り、ないしそれを目的とする契約。民法の定める消費貸借(金銭その他の代替物を借りてこれを消費し、同種・同等・同量の物を返還する契約―第587条以下)の典型的な場合である。たとえば、銀行・信用金庫・信用協同組合などによる各種の融資、労働金庫法などによるそれぞれの法律の目的に従った貸付、高利貸・サラリーマン金融(サラ金)・質屋などによる庶民金融など、社会的に重要な機能を営んでいる。したがって、それらに関する取締り法規は多い。たとえば、利息制限法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、質屋営業法、無尽業法、貸金業法などである。
 民法の定める消費貸借としての金銭貸借は要物契約であるから、それが成立するためには、金銭の授受が必要である。ただし、この要件は広く解されており、貸し主の負担で借り主にそれだけの経済的価値が帰属する場合には、契約の成立が認められる傾向にある。また、金銭の授受に先だって抵当権を設定し、あるいは公正証書を作成することが広く行われているが、これも有効とされている。なお、学説は、民法の定める消費貸借のほかに、無名契約(非典型契約)としての諾成的消費貸借を承認しており、金銭の授受なしに契約が成立する。
 金銭貸借の効力は次のとおりである。借り主は、借りた額と同額の金銭の返還をなす義務を負い、利息金銭貸借の場合には(民事では特別の合意が必要であり、商事では当然に利息付きである)、さらに利息の支払いをしなければならない。利率は、別段の合意がなければ、民事の金銭貸借の場合は年5分(民法404条)、商事の場合は年6分(商法514条)と定められている。別段の合意がある場合でも、利息制限法に定められた制限利息を超えている場合には、超過部分は無効である(同法1条1項)。ただし、超過部分を任意に支払ってしまえば、その返還を請求することができなくなる(同条2項)。
 貸借金の返還時期は、約定がある場合には、そのとき、それがない場合には、貸し主は相当の期間を定めて返還の催告をすることができ(民法591条1項)、また借り主はいつでも返還することができる(同条2項)。また、返還時期が過ぎてしまった場合には、借り主は遅延利息を支払わなければならない。[淡路剛久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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