鉄道国有法(読み)てつどうこくゆうほう

百科事典マイペディア 「鉄道国有法」の意味・わかりやすい解説

鉄道国有法【てつどうこくゆうほう】

一地方の交通を目的とする鉄道を除いて,鉄道の国有化を定めた法律(1906年)。1880年代後半から民営鉄道は急速に伸びたが,産業上,軍事上からも統一的な路線網の確立が要望され本法を制定。これにより民営鉄道17社が政府に買収され,国鉄6640km,民営717kmと比率は逆転した。1907年10月までに買上げが完了した。1987年の日本国有鉄道民営化にともない廃止
→関連項目鉄道

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旺文社日本史事典 三訂版 「鉄道国有法」の解説

鉄道国有法
てつどうこくゆうほう

1906(明治39)年公布された,おもな私設鉄道を国有化するための法
鉄道国有論は早くからあったが,第1次西園寺公望 (きんもち) 内閣は,国防や輸送統一の目的で,同法案を議会提出紛糾ののち成立した。17社約4400kmが買収され,鉄道の9割が国有化された。'87年分割・民営化で国有鉄道は廃止。

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世界大百科事典 第2版 「鉄道国有法」の意味・わかりやすい解説

てつどうこくゆうほう【鉄道国有法】

日本の鉄道は原則として国有とすることを定めた法律で1906年制定。日露戦争の終わった1905年末における官営鉄道の営業キロは2413.3kmで,民営鉄道5196.2kmのほぼ1/2であった。しかし民営鉄道には経営不振から政府による買上げを希望する動きがあり,政府も日清,日露両戦争における軍事輸送の経験から,鉄道を国有として一本化することの必要性を感じていた。また鉄道経営上も,ばらばらの鉄道を統合することによって運賃低減車両共用など経済面での利益が得られ,国内産業の振興に役だつと考えられた。

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世界大百科事典内の鉄道国有法の言及

【国有鉄道】より

…現在のドイツの連邦鉄道は国の行政機関の一部であるが,ある程度の自主性を与えられた企業体である。日本もこの流れに沿った国有化が,1906年制定の鉄道国有法によって行われた。交通政策,経営経済上の理由が挙げられているが,日清・日露の戦争を通じて,軍事輸送の必要上,国有化が行われたものと考えられる。…

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