六訂版 家庭医学大全科 「鎖骨骨折」の解説
鎖骨骨折
さこつこっせつ
Clavicular fracture
(外傷)
どんな外傷か
小児が転倒して手や肘あるいは肩を地面などについた時に、その衝撃による外力が鎖骨に伝わって発生します。鎖骨を直接に
見落としやすい外傷と合併損傷
乳幼児は骨が厚い骨膜で包まれているため、骨の連続性が完全には断たれない不全骨折(いわゆる「ひび」)になることが多くあります。
この場合は症状が乏しく、X線写真でも骨折線がはっきりしませんが、数日後にX線再検査を行うと骨折線がはっきりします。
小中学生で交通事故などにより大きな外力を受けた場合は、神経や血管の損傷を合併することがあります。
症状の現れ方
骨折はほとんどが鎖骨の中央3分の1の部位で発生します。骨折すると、体の中央寄りの近位骨片は上方へ、肩寄りの遠位骨片は下方にずれます。鎖骨の正常のレリーフが変形し、さらに両骨片は重なり合って1~2㎝短縮し、肩幅が狭くなります。骨折部に皮下出血やはれ、痛みが生じ、腕や肩を動かすと痛みが強まります。
検査と診断
X線検査が必要です。外傷の病歴と鎖骨部の変形、痛み、はれ、皮下出血、圧痛、骨折部の異常な動きなどの症状とX線写真で診断は容易です。
治療の方法
保存療法が原則です。患児を椅子に座らせて、できるだけ胸を反らせて、重なり合って短縮した骨片を整復します。次いで包帯を使用する8字帯固定法や、専用の鎖骨バンドなどで固定します。
固定期間は乳幼児では2~3週間、小中学生では4~6週間程度で、低年齢児ほど短くてすみます。
応急処置はどうするか
腕や肩を動かすと痛みが強まるので、三角巾などで腕を体幹に固定します。
関連項目
鈴木 克侍
鎖骨骨折
さこつこっせつ
Collarbone fracture
(子どもの病気)
分娩時骨折のなかではいちばん多くみられ、
骨折後1週間ころから骨折部に
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報