開権顕実(読み)カイゴンケンジツ

デジタル大辞泉 「開権顕実」の意味・読み・例文・類語

かいごん‐けんじつ【開権顕実】

《「権」は方便、「実」は真実の意》天台宗で、法華経以前の諸経の教え(三乗)はすべて方便にすぎず、法華経こそ真実の教えであることを表したもの。教理に関していい、実践上は開三顕一かいさんけんいちという。開顕

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精選版 日本国語大辞典 「開権顕実」の意味・読み・例文・類語

かいごん‐けんじつ【開権顕実】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「権」は方便、「実」は真実の意 ) 仏語。天台宗で、法華経に至って初め従来の諸経が方便であり、法華経だけが真実であることを表わしたもの。ただしこれは教理に関して説く術語で、実践の上からは開三顕一(かいさんけんいち)という。また、これは法華経の迹門(しゃくもん)の開顕を示すもので、これに対して、別に本門の開顕は開迹顕本といい、本門の意にも用いられる。〔法華玄義‐五下〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開権顕実」の意味・わかりやすい解説

開権顕実
かいごんけんじつ

仏教用語。天台大師智 顗 (ちぎ) が『法華経』の趣旨を説明した言葉で,方便の教えの行きづまりを打破して一乗真実の教えを表わすことをいう。すなわち衆生機根に応じて初めに方便の教えを与えるから差別が生じるが,ひとたび『法華経』の教えを受ければ,すべて等しく究極の法界に帰することができるという意味。また天台宗では,『法華経』の後半部で歴史上の釈尊久遠実成の仏であると説く開迹顕本 (かいしゃくけんぽん) を本門としているのに対して,前半の開権顕実を迹門としている。

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