三乗(読み)さんじょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

悟りの世界に入るための3種の教え,実践あるいは道を乗物にたとえたもの。 (1) は声聞乗,集,,道の四諦 (→四聖諦 ) を悟り阿羅漢となるための教えあるいは実践。 (2) は縁覚乗十二因縁を悟って独覚 (→縁覚 ) となる行き方。 (3) は菩薩乗。無上菩提を証得せんとする菩薩たちの道。

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デジタル大辞泉の解説

[名](スル)
数学で、同一の数を3回掛け合わせること。立方。a×a×aa3のように示す。和算では、同一数の掛け算を3回行うことで、4にあたる。
《「乗」は乗り物の意》仏語。
㋐衆生(しゅじょう)を悟りに導く3種の教法を乗り物にたとえたもの。すなわち、声聞乗(しょうもんじょう)縁覚乗(えんがくじょう)菩薩乗(ぼさつじょう)
小乗大乗一乗のこと。

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百科事典マイペディアの解説

仏教の基本的概念の一つ。乗は乗物ので,衆生を迷いの世界から,悟りへと運ぶこと。悟りに至るには,人の資質などに応じて3種の方法がある。教えを聞いて初めて悟る声聞(しょうもん)(小乗),自ら悟るが人に教えない縁覚(えんがく)(中乗),一切衆生のために道を実践する菩薩(ぼさつ)(大乗)の三つをいう。
→関連項目一乗

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世界大百科事典 第2版の解説

大乗仏教における3種類の教え。乗は〈乗物〉であって,人間が悟りの境界へ至るための乗物すなわち教えを意味している。大乗仏教では全仏教を声聞乗(しようもんじよう),縁覚乗(えんがくじよう),菩薩乗(ぼさつじよう)の3種に分け,それぞれ能力の異なった3種類の対象のために異なった教えがあるとしている。声聞は最も能力の劣ったもので,仏の声に導かれてみずからの悟りのみを求めるものであり,次位の縁覚はひとりで悟りを開いたもの,最上位の菩薩はみずからのためのみならずいっさいの人間の悟りのために修行しているものを意味し,声聞,縁覚は自利,菩薩は自利利他とする。

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大辞林 第三版の解説

スル
同じ数や式を三度かけ合わせること。立方。
は迷いの此岸から悟りの彼岸へ衆生しゆじようを渡す乗り物の意 衆生が煩悩ぼんのうの世界から菩提の世界に達する三つの方法。声聞乗・縁覚乗・菩薩乗の総称。 → 一乗

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仏教の教理用語。サンスクリット語ではトリーニ・ヤーナーニtri ynniあるいはヤーナ・トラヤyna-trayaといい、いずれも「三つの乗り物」の意を表す。「乗」(乗り物)は、人々を乗せて仏教の悟りに至らしめる教えを譬(たと)えていったもので、大乗仏教ではそれに声聞(しょうもん)乗(仏弟子の乗り物)、縁覚(えんがく)乗(ひとりで悟った者の乗り物)、菩薩(ぼさつ)乗(大乗の求道(ぐどう)者の乗り物)の三つがあるとする。ただし、部派仏教(いわゆる小乗仏教)ではこのうちの菩薩乗を説かず、かわりに仏乗(仏の乗り物)をたてる。初期大乗経典の『法華経(ほけきょう)』では、三乗は一乗(仏乗、一仏乗ともいう)に導くための方便であり、真実なる一乗によってすべてのものが等しく仏になると説いている。[藤田宏達]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① (「乗」は乗物の意) 仏語。衆生を乗せて悟りの世界へ運ぶ三種の教法。
(イ) 声聞乗・縁覚乗・菩薩乗または大乗のこと。三蔵。
※正法眼蔵(1231‐53)画餠「あるひは三乗一乗の教学、さらに三菩提のみちにあらずといはんとして」
(ロ) 小乗・大乗(三乗)・一乗の三つ。〔勝鬘経‐一乗章〕
(ハ) 大乗・中乗・小乗の三つ。〔華厳五教章‐一〕
(ニ) 天乗・梵乗・聖乗の三つ。〔大宝積経‐九四〕
② 同一の数を三個掛け合わすこと。たとえば、三の三乗は二七となる。和算では、同一数の掛算を三回行なうことをさすので、「四乗」に当たる。〔工学字彙(1886)〕

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世界大百科事典内の三乗の言及

【一乗】より

…一つの乗りものという意味である。一仏乗のことで,三乗(声聞乗,縁覚乗,菩薩乗)に対する語。衆生を乗せて悟りにおもむかせる教えにたとえたもの。…

【一乗要決】より

…3巻。法相宗において人の資質や能力に応じて声聞(しようもん)・縁覚・菩薩に固有の3種の悟りの道があるとする三乗説を反駁し,天台宗の立場から《法華経》に説く,悟りに導く教えはただ一つしかなく,いかなる衆生もすべて仏になれるとする一乗説を主張。一乗思想が真実の教えで,三乗思想が方便であることを諸経論の引用で立証した。…

【法華経】より

… 27(または28)章よりなるが,第2章〈方便品〉を中心とした部分が最も早く成立し,その思想は〈開三顕一〉〈開権顕実〉などと呼ばれる。すなわち,仏は衆生の機根に応じて三乗(声聞乗,縁覚乗,菩薩乗)の教えを説いたが,究極においては真理はただ一つであるとして,従来の大乗・小乗の対立の止揚統一を図っている。遅れて成立した後半部分の中心は〈如来寿量品〉で,ここでは菩提樹下で成仏した釈迦は仮の姿で,実は五百塵点劫(じんてんごう)という大昔に成仏していると説き,永遠の仏(久遠実成(くおんじつじよう)の釈迦)の理想を明らかにしている。…

※「三乗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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