久遠実成(読み)クオンジツジョウ

デジタル大辞泉 「久遠実成」の意味・読み・例文・類語

くおん‐じつじょう〔クヲンジツジヤウ〕【久遠実成】

仏語法華経ほけきょう思想の一。釈迦仏がこの世に生まれたのは仮の姿にすぎず、永遠の昔に悟りを開き成仏して限りない時間を人々の教化に尽くしてきたと説くもの。久成正覚くじょうしょうがく

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精選版 日本国語大辞典 「久遠実成」の意味・読み・例文・類語

くおん‐じつじょうクヲンジツジャウ【久遠実成】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。久遠の昔に真実の悟りを成就して仏となったこと。久遠成実。
    1. [初出の実例]「しかあれば久遠実成は、我少出家なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)出家)

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改訂新版 世界大百科事典 「久遠実成」の意味・わかりやすい解説

久遠実成 (くおんじつじょう)

久遠とは遠い過去,永遠の昔のこと。実成とは実に成仏したということ。《法華経》如来寿量品第16に,釈迦牟尼仏シャカ)が〈我れ実に成仏してよりこのかた無量無辺百千万億那由佗劫(なゆたこう)なり〉と永遠の過去から救いを働きかけつづけていることを言った言葉。もともと東南アジアに伝わる上座部仏教では,シャカはインドのブッダガヤー菩提樹のもとで初めて〈悟り〉を開いた聖者とする。しかるに大乗仏教経典である《法華経》は,シャカが永い間の菩薩としての求道の末に,五百億塵点という数えきれぬほどの永遠の過去に仏陀となったことを明らかにし,それ以来たえず教化をつづけてきたと説く。日蓮はそこに末代濁世(じよくせ)を救済するシャカの姿を見るのであって,現代の法華仏教はすべてこれを継承している。また浄土教では阿弥陀如来の永遠性をこの教義に重ねて解釈する。
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百科事典マイペディア 「久遠実成」の意味・わかりやすい解説

久遠実成【くおんじつじょう】

歴史上のブッダガヤーで悟った釈迦は仮の姿で,久しく遠い過去に実際に悟りを開き成仏し,以来人びとを教化し続けたのが真実の釈迦であるという法華経の説。久遠本仏,無始古仏とも称し,天台宗日蓮宗の重要教義の一つ。浄土教では十劫(じっこう)の昔に成仏した阿弥陀仏を久遠実成の阿弥陀仏という。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「久遠実成」の意味・わかりやすい解説

久遠実成
くおんじつじょう

仏教用語。仏教では種々の教えを説くが,それは,歴史上の人物肉身をそなえた釈迦牟尼 (釈尊) が説いたものではなく,時間,空間を超越した絶対的真理の表われにほかならず,釈迦牟尼は,はるかの昔に悟りを開き,人々を教化し続けているのだとする思想。

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