陪塚(読み)バイヅカ

デジタル大辞泉 「陪塚」の意味・読み・例文・類語

ばい‐づか【陪塚】

ばいちょう(陪塚)

ばい‐ちょう【陪塚/陪×冢】

主人の墓に伴う従者の墓の意》大きな墓のそばにある小さな墓。副葬品を納めるだけのものがある。ばいづか。

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精選版 日本国語大辞典 「陪塚」の意味・読み・例文・類語

ばい‐ちょう【陪塚・陪冢】

  1. 〘 名詞 〙 大形古墳に近接して存在する小古墳で、その性格が大形墳に従属するものをいう。殉死者の墓ともいわれるが考古学的には不明。〔大増補改訂や、此は便利だ(1936)〕

ばい‐づか【陪塚】

  1. 〘 名詞 〙ばいちょう(陪塚)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陪塚」の意味・わかりやすい解説

陪塚
ばいづか

規模の大きい古墳の周囲に、平面的にみると規則的に配置された形になって築かれている、規模のより小さい古墳。陪冢(ばいちょう)とも陪墳ともいう。陪塚を備えた古墳を主墳というが、前方後円墳が多く、方墳もある。陪塚には前方後円墳、円墳、方墳などがあり、一つの主墳に各種の墳形を交えることもある。古墳時代前期に少なく、中期にもっとも多く、後期にはまた少なくなる。奈良市内のウワナベ古墳コナベ古墳、大阪府の誉田山(こんだやま)古墳(応神(おうじん)陵に比定)や大山(だいせん)陵(仁徳(にんとく)陵に比定)の陪塚が名高く、調査例のうち塚廻(つかまわり)古墳、カトンボ山古墳、七観山(しちかんやま)古墳では人体埋葬の痕跡(こんせき)が明らかでない。しかし市ノ山古墳(允恭(いんぎょう)陵に比定)の陪塚である長持山(ながもちやま)古墳や唐櫃山(からとやま)古墳には家形石棺があって、人体埋葬があったと推定される。いずれにしても安易に殉死を連想してはいけない。

[森 浩一]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「陪塚」の解説

陪塚
ばいちょう

陪冢とも。大型古墳に隣接するように造られた小型古墳をいう。本来は,主人の墓のそばに造られた従者の墓という意味だが,実際にその関係を証明することは困難な場合が多い。主墳は前方後円墳,陪塚は円墳・方墳が多いが,主墳が大山(だいせん)古墳などの大型前方後円墳の場合は,前方後円墳や帆立貝(ほたてがい)式古墳もみられる。5世紀代に多く認められる。また副葬品のみを納めた陪塚もある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陪塚」の意味・わかりやすい解説

陪塚
ばいちょう

陪冢とも書く。古墳の一種。大きな古墳のそばにあたかもそれに従うようにつくられている小さい古墳をさす。しかし,陪塚と呼ぶ場合には,規模,内容などの点で主体となる古墳となんらかの関係がなければならず,ただ位置近いというだけでは判断できない場合もある。これらの陪塚には,死者を葬ったと思われるもののほかに,器物だけを埋納したと思われるものもある。

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世界大百科事典(旧版)内の陪塚の言及

【陪冢】より

…一般には,主墳の脇につくられた近親者や従者の墳墓をさす。陪塚(ばいづか)ともいう。たとえば,中国では前漢・武帝の茂陵に対する李夫人墓や霍去病(かくきよへい),衛青らの重臣墓が名高い。…

※「陪塚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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