陽子線治療(読み)ヨウシセンチリョウ

デジタル大辞泉 「陽子線治療」の意味・読み・例文・類語

ようしせん‐ちりょう〔ヤウシセンチレウ〕【陽子線治療】

放射線一種である陽子線体内病巣に照射する治療法。体内の深くまで到達するのでX線ガンマ線より効果的とされる。対象は主に悪性腫瘍。→重粒子線癌治療

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陽子線治療」の意味・わかりやすい解説

陽子線治療
ようしせんちりょう

放射線療法の一種で、陽子線を照射する治療法。陽子線は元素のなかでもっとも軽い水素の原子核である陽子をサイクロトロンシンクロサイクロトロンなどの加速装置を用いて加速したもので、体内深部に到達して治療効果を発揮する。また、X線が体内に入るにつれ放射線量が徐々に減衰するのに対して、陽子線は体表面近くではエネルギーを放出せず、停止する直前に大線量を放出(線量ピーク)する。この線量ピークは発見者の名を冠してブラッグピークBragg peakとよばれる。さらにX線では病巣付近の正常組織も同等の線量を浴びてしまうが、陽子線は停止位置より奥へ入り込まないため、病巣だけに効率よく線量を集中でき、正常組織や臓器への副作用は少ない。癌(がん)の治療においては、病巣の深さや大きさにあわせて線量ピークをコントロールする。日本では眼球メラノーマ悪性黒色腫(しゅ))に対する治療が最初で、ほかに前立腺(せん)癌、肝癌頭蓋(とうがい)底腫瘍(しゅよう)などに効果が大きいとされる。治療装置は数十億円規模になるため、国内でこの治療が受けられるのはまだ数か所にとどまっている。陽子線治療は先進医療一つで、保険適用外であるため費用は高額だが、近年民間生命保険などには先進医療特約に加えているものもある。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「陽子線治療」の意味・わかりやすい解説

陽子線治療【ようしせんちりょう】

粒子線治療

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