雄勝峠(読み)おがちとうげ

日本歴史地名大系 「雄勝峠」の解説

雄勝峠
おがちとうげ

山形県と秋田県の県境に位置し、標高四二七メートル。のぞき峠・すぎ峠などとも称された。慶長七年(一六〇二)秋田に入部した佐竹氏は領国経営の一環として、それまで東方有屋ありや峠を越えていた羽州街道を当峠越に付替えたといい(秋田沿革史大成)、秋田藩重臣梅津政景の日記では、政景は江戸との往来や最上氏領との連絡にほとんどすべて当峠を利用している。元和八年(一六二二)戸沢氏の最上郡入部以降は新庄・秋田両藩境の峠として、峠下の及位のぞき村に番所が置かれ、金山かねやま郷手代の二人詰であった(増訂最上郡史)


雄勝峠
おがちとうげ

上院内かみいんないの西南約六キロ、山形県との県境に位置する。左右に杉の古木があったところから、すぎ峠・院内杉いんないすぎ峠ともよばれた。

慶長八年(一六〇三)佐竹義宣は領国経営の一環として、羽州街道を有屋ありや(黒森峠)経由から、雄勝峠経由に移したと伝える(秋田沿革史大成)

天和元年(一六八一)の領中大小道程帳(秋田県庁蔵)に「新庄領金山村より当領境目杉峠まて四里、杉峠より沓懸壱里塚迄弐拾六丁四拾八間」とあり、秋田藩領と新庄藩領を分ける要所であった。文政四年(一八二一)の御国目付御用日記(秋田県庁蔵)には境口として、「出羽国雄勝郡杉峠境、当領院内村より新庄御領及位村出ル」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雄勝峠」の意味・わかりやすい解説

雄勝峠
おがちとうげ

秋田県湯沢市上院内(かみいんない)と山形県真室川町(まむろがわまち)の境にある峠。標高427メートル。常陸(ひたち)(茨城県)から秋田に遷封となった佐竹義宣(よしのぶ)は1603年(慶長8)羽州街道を整備するとともにこの峠を開いた。一里塚が築かれ、院内には関所が設置された。また新庄(しんじょう)藩及位(のぞき)(真室川町)に番所が置かれた。参勤交代路であったばかりか、軍事上の要地でもあった。現在は国道13号が走り、雄勝トンネルによって峠越えしている。

[宮崎禮次郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雄勝峠」の意味・わかりやすい解説

雄勝峠
おがちとうげ

秋田・山形県境にある峠。杉峠,院内峠とも呼ばれた。標高 427m。正保5 (1648) 年から,羽州街道 (国道 13号線) の本道となった。峠の両側スギの古木があり,スギ自生地として知られる。現在は,JR奥羽本線,国道ともトンネルで通過する。

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