雨量計や百葉箱など、気象観測用の測器をセットする屋外の場所。測定器械の感部を大気に露出する意味で、このように名づけられたのであろう。よい観測値を得るには、地物、建物、樹木などの障害物が少ない、水はけのよい平坦(へいたん)地に露場をつくる。広さは、気象台や測候所では600平方メートル以上とされているが、周囲が広々としている場所や設置する測器の種類や数によっては、もっと狭くても支障は少ない。都会で建物が密集している所では、理想的な露場をつくるのはむずかしい。やむをえず屋上に設ける際は、十分な注意が必要である。コンクリートからの照り返しや屋内からの排気が気温に影響したり、建物による吹き上げ気流や渦のため、雨量計に雨滴や雪片が入りにくくなることがある。学校のように校舎が並んでいる所では、校舎の間に露場を置くのは適当でない。なるべく校舎から離し、運動場の端などを選ぶ。気象官署の露場には、百葉箱や隔測温湿度計のシェルター、雨量計、雪量計、降雨計、雪尺(ゆきしゃく)、雪板、日照計、日射計、蒸発計などさまざまな測器がセットされる。日照や日射が建物で遮られないよう、近くに建物があるときは露場はその南側とする。取り付ける測器は、互いにじゃまになったり測定値に影響を与えないよう配置する。このためには、露場の形は正方形に近い長方形か、円形が都合がよい。あまり広くないときは、周りの影響を受けやすい雨量計や風向風速計と、太陽の陰にならない日照計の位置をまず決める。気温への陰と日なたの影響は大きくない。犬などや無用の人が入らないよう、周りに柵(さく)をつくる。粗い金網にすれば風通しがよい。芝草を植えると雨の跳ね返りを防ぐばかりでなく、美観にも役だつ。遠隔測器を使用するには、あらかじめケーブル用のトラフ(樋(とい))を埋めておくのがよい。また夜間観測には、屋外灯があると便利である。
[篠原武次]
温度計や雨量計などのように屋外に設置しなければならない気象器械のために特別に整備された地面。ここで観測された気象要素はその付近一般の気象状態を代表しうるものでなければならないから,露場はできるだけ広いことが必要で(600m2以上),近くに高い建物や木などがなく,草地が広がっていることが望ましい。露場には,日射が地面で反射して気温の測定に影響したり,雨がはねかえって雨量測定の誤差にならないように芝を植える。これによって地面の一様性が保たれるので,このような場所で測定された結果は相互に比較することができる。
執筆者:清水 逸郎
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