露出症(読み)ロシュツショウ(その他表記)exhibitionism

翻訳|exhibitionism

精選版 日本国語大辞典 「露出症」の意味・読み・例文・類語

ろしゅつ‐しょう‥シャウ【露出症】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 性的倒錯の一つ陰部を露出して他人に見せることによって性的満足を得るもの。
    1. [初出の実例]「お前のは露出症だよ」(出典:華々しき一族(1935)〈森本薫〉三)
  3. 私的な事情自分内面を、好んで人前にさらけ出す性癖
    1. [初出の実例]「告白文学を露出症と罵り」(出典:女房的文学論(1947)〈平野謙〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「露出症」の意味・わかりやすい解説

露出症 (ろしゅつしょう)
exhibitionism

性嗜好異常(パラフィリア),性的倒錯の一種。自分の裸体,とくに性器などを,不特定の人々に見せることによって性的な興奮や満足を得るもの。路上,電車内など,異性の面前で性器を露出して,相手に困惑羞恥の念を起こさせる場合と,ストリーキングのように,全裸で街路,公園などを走り回るような場合とがある。知的障害者,老人などが,性的不満の代償として行う場合や,精神病,酩酊などによって道徳的抑制が解除されてしまった場合もあるが,特異な強迫的心理によるケースが多い。S.フロイトによれば,自体性欲の段階では自己の性器に対する関心・注視が見られるが,見る主体が自己から他者に変化することによって露出症の構造が生じる。ちなみに,見られる客体の方が変化して他人の性器になったものが窃視症voyeurism(のぞき)である。露出の行為は,他人に嫌悪,恐怖などの感情を引き起こすので,日本の法律では軽犯罪法違反や公然猥褻(わいせつ)罪によって取り締まられることがある。
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百科事典マイペディア 「露出症」の意味・わかりやすい解説

露出症【ろしゅつしょう】

行為に関する異常性欲の一種。自分の裸体や性器を異性の前で露出することによって性的快感を得るが,それ以上の性的行為はみられないもの。アルコール依存症精神発達遅滞などにみられることがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「露出症」の意味・わかりやすい解説

露出症
ろしゅつしょう
exhibitionism

性倒錯の一種。自分の身体,特に性器を公共の場所で他人に見せて性的快感を得ようとする傾向。

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世界大百科事典(旧版)内の露出症の言及

【性倒錯】より

…自分自身の肉体を性対象とするオートエロティズム(ナルシシズム),自分と同性を対象とする同性愛,性的に未熟な幼児を対象とする幼児性愛(ペドフィリアpedophilia),老人を対象とする老人性愛(ジェロントフィリアgerontophilia),死体を対象とする屍体性愛(ネクロフィリアnecrophilia),動物(獣,鳥など)を対象とする動物性愛(ゾーフィリアzoophilia,これにもとづく行為が獣姦=ソドミーsodomy),フェティッシュと呼ばれる物品や肉体の一部を性愛の対象とするフェティシズム,親子・同胞と交わる近親相姦など。一方,性目標の異常としては,露出症,窃視症(voyeurism,いわゆる〈のぞき〉),サディズムマゾヒズム,異性装症ないし服装倒錯(トランスベスティズムtransvestism)などがあげられてきた。異性との性器交接を正常の性交と考えると,これらの行為はいずれも,それによって得られる以上の性的興奮,快感,満足を,これらの性対象や性行為から獲得しようと試みるものとされてきた。…

※「露出症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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