音声多重放送(読み)オンセイタジュウホウソウ

百科事典マイペディアの解説

音声多重放送【おんせいたじゅうほうそう】

テレビジョン放送で,2ヵ国語やステレオの音声サービスを行うために,2チャンネル以上の音声を伝送するための工夫をした放送で,地上テレビジョン放送と衛星テレビジョン放送とでは異なった伝送技術で送られている。地上テレビジョン放送では,音声を送る電波を単純にFM(周波数変調)といわれる方式で送られている第1の音声チャンネルに,第2の音声チャンネルでFMされた副搬送波をFDM(frequency division multiplexingの略。周波数分割多重)で多重している。衛星テレビジョン放送では,音声信号はデジタル化(コンパクトディスクと同様な技術)されて送られており,放送局で選択できるA,Bの2種類のモードがあって,音楽番組などでは高品質な2チャンネル音声(ステレオが多い),その他の番組では4チャンネル種類の音声を送ることができる。

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大辞林 第三版の解説

おんせいたじゅうほうそう【音声多重放送】

二つの音声信号を同時に送るテレビ放送。二か国語放送やステレオ放送など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音声多重放送
おんせいたじゅうほうそう
sound multiplex broadcasting

一つのテレビチャンネルに、複数の音声を多重化して放送すること。FMステレオ放送も広い意味では音声多重放送であるが、一般には音声多重放送とよばれることがないので、ここでは一般的なテレビ放送における音声多重放送について解説する。
 過去のアナログ放送では、NTSCの拡張規格で決められた主音声チャンネルと副音声チャンネルの二つの搬送波を使って、二重音声放送と2チャンネルステレオ放送が行われていた。二重音声放送のおもなものは2か国語放送で、主音声チャンネルで日本語放送を、副音声チャンネルで同じ内容の外国語放送を行う。二重音声放送のもう一つは解説放送で、同じ日本語放送を主と副の両音声チャンネルで行うが、主音声チャンネルではメインの音声を、副音声チャンネルでは解説的あるいは副次的な音声を放送するものである。音声多重に対応したテレビ受信機では、主音声と副音声を切り替えて聴くことができる。一方、音声多重に対応していないテレビ受信機では主音声だけを聴くことになる。また、2チャンネルステレオ放送では、ステレオ再生に対応していないテレビ受信機でも不都合が生じることがないよう、主音声チャンネルには左(L)と右(R)の和信号(L+R)が割り当てられ、副音声チャンネルには左(L)と右(R)の差信号(L-R)が割り当てられる。ステレオ再生に対応したテレビ受信機では、マトリックス回路によって和信号(L+R)と差信号(L-R)が左(L)信号と右(R)信号に復原され、左のスピーカーからは左(L)信号の音声が、また右のスピーカーからは右(R)信号の音声が再生される。一方、ステレオ再生していないテレビ受信機では、スピーカーからは左右の和信号(L+R)が再生される。スピーカーが左右二つあっても、それぞれのスピーカーからは和信号(L+R)が再生され、モノホニック受聴となる。受聴の際の二重音声放送と2チャンネルステレオ放送の切り替えは、副音声搬送波にのせられている識別信号をテレビ受像機が検知することで行われる。
 現行の地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送(東経110度に位置する通信衛星を使ったデジタル放送)では、日本のデジタル放送規格ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting、統合デジタル放送サービス)によって、1放送チャンネル当り八つの音声を用いることができるように決められている。これを利用して、二重音声放送、ステレオ音声放送、5.1チャンネル・サラウンド音声放送などが行われている。モノホニック音声の番組も、放送形態としてはステレオ信号で送信されており、モノステレオ放送とよばれている。受聴の際の各種音声の切り替えは、送信電波にのせられている制御信号をテレビ受信機が検知して行われる。[吉川昭吉郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

おんせいたじゅう‐ほうそう ‥タヂュウハウソウ【音声多重放送】

〘名〙 一つの電波に複数のプログラムを入れて送る放送。ステレオ放送や二か国語放送などに利用される。

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