砥粒(とりゆう)を水などの加工液に混合し,これを高周波で振動する工具と加工物との間に介在させ,工具が砥粒を介して加工物に与える衝撃破砕作用によって行う加工法。超音波そのものを加工に利用しているのではなく,工具の振動数が超音波の振動数であることからこの名がある。工具の振動数は15~30kHz,振幅は10~150μm程度に設定される。加工中に工具と加工物の間には一定の圧力が加えられており,両者の間隙(かんげき)は使用する砥粒の平均直径にほぼ等しい。振動子にはニッケルやフェライトが使用され,その下端には,振動振幅を増幅する目的で縦断面が指数関数状などの形状をもつホーンが取り付けられる(図)。ホーンの材質は工具鋼やチタン合金であり,その先端に軟鋼や工具鋼で成形された工具が取り付けられている。超音波加工は,電気的良導体および不良導体にかかわらず超硬合金,宝石,セラミックなどの硬くてもろい材料の穴あけ,切断,彫刻などの加工が可能であることを特徴とする。加工精度は数μm程度に,表面粗さは0.2μmくらいにおさめることが可能である。
執筆者:稲崎 一郎
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可聴音よりも高い音、すなわち周波数が16キロヘルツ以上の、可聴範囲を超えた音波を超音波というが、これを利用した金属加工法。この場合、普通は超音波の発生源として、ニッケルAF合金(アルミニウム13%、鉄87%)などの磁気ひずみ現象を利用する磁歪(じわい)振動子などが用いられる。超音波が水中を伝播(でんぱ)する場合、静水圧が1気圧の水中では音の強さがある程度以上になると音圧の波高値は1気圧を突破して負の圧力を生じ、水中に空洞や気泡を生ずる。圧力が負から正に変わる瞬間に、空洞は消滅し、そのとき強烈な破壊作用がある。この現象を利用して水晶、ゲルマニウム、宝石、陶磁器、超硬質合金など、もろくて硬い材料に穴あけ、切断、研摩などを行う。たとえば穴あけは、振動を与え、その間に砥粒(とりゅう)を水に混ぜて供給してやると、押し付けた工具の形どおりの穴があく。
[志村宗昭]
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