生没年不詳。紀元前5世紀ごろの人。釈迦(しゃか)の第一の弟子。サンスクリット語のシャーリプトラŚāriputra、パーリ語でサーリプッタSāriputtaの音写。玄奘(げんじょう)は舎利子と訳す。中インドのマガダ国のバラモンの家に生まれ、もとウパティッサUpatissaと称した。若いころから学問に優れ、当時もっとも有名な論師の一人で徹底した懐疑論者のサンジャヤSañjayaの弟子となり、目犍連(もくけんれん)(目連(もくれん))と親しむ。のち仏弟子のアッサジAssajiに出会い、その教えを聞いて翻然と悟り、目連およびサンジャヤの弟子250人とともに仏弟子となる。とくに智慧(ちえ)に優れ(智慧第一)、釈迦の教説を理論づける働きも果たしたらしく、釈迦にかわって説法する例も少なくない。釈迦入滅以前に没したといわれる。仏教外の資料には舎利弗を仏と扱う例もみられる。のちに大乗仏教がおこり種々の大乗経典がつくられた際、舎利弗は部派仏教(いわゆる小乗)の代表として、また最高の仏弟子のごとく、しばしば引用されている。
[三枝充悳 2016年11月18日]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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