翻訳|trance
意識の変容による異常精神状態をいう。催眠によって表面の意識が消失し,心の内部の自律的な思考や感情があらわれる場合や,ヒステリー,カタレプシーによる意識の消失,狐やその他の霊に憑(つ)かれたとされるとき,または外界との接触を絶つ宗教的修行による忘我・法悦状態などを指す。このトランス状態に入って,超自然的存在である神や精霊,死霊などと接触し,卜占,予言,治療,祭儀を行う呪術-宗教的職能者をシャーマンというが,シャーマンのトランスには霊魂が身体から離れて異界に移動し,神や霊と接触する脱魂(エクスタシーecstasy)と,超自然的存在がシャーマンを訪ねる憑依(ポゼッションpossession)との,2種類の神秘体験があるといわれる。日本におけるシャーマン的行為は主として憑依による。
→シャマニズム
執筆者:秋山 さと子
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…この種の異性体の最初の例は,J.A.ウィスリツェヌスが87年に報告したフマル酸とマレイン酸であった。マレイン酸は加熱すると容易に水を失って無水マレイン酸になるのに対して,フマル酸は強熱しない限り水を失わず,そのうえ脱水生成物は無水マレイン酸であることから,二つのカルボキシル基が二重結合の同じ側にくるものをシスcis型,反対側にくるものをトランスtrans型と呼ぶようになった。 幾何異性体ないしシス‐トランス異性体は光学異性体と異なり,異性体間の物理的・化学的性質に著しい差がある場合が多いため,両者を分離することは比較的容易である。…
…地域により脱魂型の濃厚なところ,憑霊型の多いところ,両者が重なり合っている場合などある。脱魂であれ憑霊であれ超自然的存在との直接接触・交流は,シャーマンが日常的心理・意識を変異させた状態すなわち〈トランスtrance〉において実現される。地域によっては夢がトランスと同じように神人交流の役割をもつ場合もある。…
…宗教の中には,神秘体験によるエクスタシーを重要視するものも多いが,とくにシャマニズムでは,中心的行為と考えられている。エリアーデは,その著《シャマニズム》(1951)で,シャマニズムとはエクスタシーの技術であり,これに必ず伴う意識の変化であるトランス状態で,巫者の魂が肉体を離れて天上界や地下界を往復すると信じられている現象であると述べている。シャマニズムのエクスタシーは,脱魂と憑依(ひようい)の2種があるが,エリアーデは狐憑(つ)きや霊などにとり憑かれる憑依を二次的な形態と考えている。…
…幻や夢は,神霊,死霊,祖霊など霊的存在を含む〈他者〉との直接接触・交流の回路であり,媒体であるとされるからである。人類学者ブールギニョンE.Bourguignonは幻覚を〈トランス〉の類似概念であるとし,トランスにおいて自己の外界に対象を知覚・認識するのが幻覚であり,同じトランスにおいてであっても,対象が自己に憑入(ひようにゆう)し,対象と自己が同一化するのが〈憑霊〉であるとして,両者を区別している。幻覚は各地のシャーマン(予言者,見者など)のイニシエーションおよび儀礼において,シャーマンが霊的存在や霊界と直接接触・交流する際の不可欠の条件である。…
…シャマニズムとは通常,トランスのような異常心理状態において超自然的存在(神霊,精霊,死霊など)と直接に接触・交流し,この間に予言,託宣,卜占,治病,祭儀などを行う人物(シャーマン)を中心とする呪術・宗教的形態である。〈シャーマン〉の語はツングース系諸族において呪術師を意味する〈サマンšaman,saman〉に由来するとする説が有力である。…
…【小松 和彦】
[憑物と憑霊]
日本語の〈憑物〉と外国語の〈憑霊spirit possession〉との間には厳密には少なからず差異がある。R.ファースは〈憑霊はトランスの一形態であり,ある人物の行動が,彼の身体に入るか,さもなくば影響している超人間的実在によって指示されていると信じられていること〉と定義した。すなわち憑霊は,神霊,精霊,死霊,祖霊,妖怪などの超人間的実在=霊的存在がある人物に憑依して,彼にある行動をとらせたり,幸福にしたり不幸にしたりするとみられる現象である。…
…トランスフォーマー,略してトランスともいわれ,場合により変成器ともいわれる。変圧器は交流の電圧および電流の大きさを電磁作用により変成する電気機器である。…
※「トランス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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