風にそよぐ葦(読み)カゼニソヨグアシ

デジタル大辞泉 「風にそよぐ葦」の意味・読み・例文・類語

かぜにそよぐあし【風にそよぐ葦】

石川達三長編小説。戦時下の出版社苦悩を描く。「横浜事件」とよばれた言論弾圧事件をモデルにしている。昭和24年(1949)から連載され、前編が昭和25年(1950)刊行後編が昭和26年(1951)刊行。

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改訂新版 世界大百科事典 「風にそよぐ葦」の意味・わかりやすい解説

風にそよぐ葦 (かぜにそよぐあし)

石川達三(1905-85)の長編小説。1949-51年《毎日新聞》に連載,50,51年,新潮社刊。太平洋戦争開戦の直前,1941年から戦後の47年までを時代背景として,出版社新評論社を経営するリベラリスト葦沢悠平とその家族の苦難を描く。葦沢は中央公論社の社長であった嶋中雄作をモデルにしており,同社が戦時下にこうむった弾圧(横浜事件)の様相なども書きこまれる。戦後,新評論社に起こった労働争議の場面を通しても,当時の激動する時世がとらえられている。作者の得意とする調べた小説の手法による代表作で,その社会観,時代観が活気をもって随所にうかがわれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

故事成語を知る辞典 「風にそよぐ葦」の解説

風にそよぐ葦

権力者の言うままになる、定見のない者のたとえ。

[由来] 「新約聖書―マタイ伝・一一」のイエスのことばから。口語訳では、自分は「風に揺らぐ葦(権力に従う人)」でも「柔らかい着物をまとった人々(権力者)」でも「預言者」でもなく、「預言者以上の者」だとあります。同じ表現は、「ルカ伝・七」にも見えています。

〔英語〕A reed shaken with {by} the wind.

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