改訂新版 世界大百科事典 「飛鳥井家」の意味・わかりやすい解説
飛鳥井家 (あすかいけ)
藤原氏北家の流れ。難波家の支流。家格は羽林(うりん)家。平安末難波家の祖忠教の子頼輔は蹴鞠一道の祖といわれたが,その孫にあたる飛鳥井家の祖参議雅経(まさつね)(1170-1221)も蹴鞠に長じ,飛鳥井流の蹴鞠を興す。また雅経は藤原俊成に歌道を学び,《新古今集》の撰者の一人になるなど和歌にもすぐれ,飛鳥井家が蹴鞠,和歌両道の家として繁栄する礎を築いた。室町時代には権中納言雅世,権大納言雅親(1417-90)父子が歌道の発展に尽くし,雅世は《新続古今集》の撰者となり,雅親も《飛鳥井家式法》《和歌道しるべ》《和歌入学抄》などを著した。また雅親は書道にも秀でて一家をなし,その流れを飛鳥井流あるいは雅親の法名にちなんで栄雅流ともいう。その後も代々禁裏・仙洞の和歌御会や蹴鞠会等に奉仕し,明治維新後も斯道の保存に尽力し,1884年華族令の制定に当たって伯爵を授けられた。なお江戸時代の家禄は928石である。
→飛鳥井雅世
執筆者:米田 雄介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報