羽林家(読み)ウリンケ

デジタル大辞泉 「羽林家」の意味・読み・例文・類語

うりん‐け【羽林家】

公家くげ家格の一。摂関家清華家大臣家に次ぐ格式で、近衛少将中将を経て、参議中納言大納言に上ることができた。滋野井飛鳥井四辻高倉など二七家。

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精選版 日本国語大辞典 「羽林家」の意味・読み・例文・類語

うりん‐け【羽林家】

  1. 〘 名詞 〙 貴族世襲による家格の一つ。摂家、清華家、大臣家に次ぐ格式の家で、近衛少将、中将を経て参議、中納言、大納言に昇ることができる。四辻、山科、高倉、難波、飛鳥井など二十七家(二十五家ともいう)がある。〔故実拾要(1720頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「羽林家」の意味・わかりやすい解説

羽林家 (うりんけ)

摂家,清華家,大臣家につぐ公家(くげ)の家格の一つ。近衛中・少将を経て大・中納言,参議を昇りうる家。羽林とは,中国では漢代以来禁衛の称として用い,日本では近衛府の異称としたが,転じて近衛府を経て納言に至る家柄の称となった。この家格は平安時代末より漸次形成され,江戸時代にほぼ固定したが,時期により羽林家の数に出入りがある。そのおもなものをあげると,正親町・滋野井・姉小路・清水谷・河鰭(以上閑院庶流),中山・難波・飛鳥井・野宮・今城(以上花山院庶流),松木・持明院・東園・園(以上中御門庶流),四条・山科・油小路鷲尾櫛笥(以上四条流),水無瀬・冷泉等の藤原氏,六条・千種久世(以上久我(こが)流)および庭田・綾小路の源氏諸家等で,幕末には40余家を数える。これらの中には,大・中納言となり,大臣に代わって節会等の朝儀を行うことがあるため,有職故実を家業とするものがあり,また装束,楽道等を家業とする家が多いのは,儀仗を任とする近衛府の職掌によるものであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「羽林家」の意味・わかりやすい解説

羽林家
うりんけ

摂家、清華家(せいがけ)、大臣家に次ぐ公家(くげ)の家格の一つ。近衛(このえ)少将、中将を経て参議、中納言(ちゅうなごん)、大納言に昇りうる家柄。羽林とは近衛府の唐名(とうみょう)であり、転じて近衛将から納言に昇る武官の家柄の称となった。平安時代から漸次形成され、江戸時代に家格として固定した。正親町(おおぎまち)、滋野井(しげのい)、清水谷(しみずだに)、小倉(おぐら)、四辻(よつつじ)、河鰭(かわばた)、阿野、橋本、梅園、中山、難波(なんば)、飛鳥井(あすかい)、松木(まつのき)(中御(なかみかど))、持明院(じみょういん)、園、冷泉(れいぜい)(上冷泉)、冷泉(下冷泉)、四条、山科(やましな)、西大路、鷲尾(わしのお)、油小路、水無瀬(みなせ)、庭田、綾小路(あやのこうじ)、六条の旧家(きゅうけ)と、旧家から分かれた約40家の新家(しんけ)があった。装束や楽道(がくどう)を家業とする家が多いのは、儀仗(ぎじょう)を任とする近衛府の職掌によるものであろう。明治の華族制度では多くが伯爵を授けられた。

[平井誠二]

『下橋敬長他著『幕末の宮廷』(1979・平凡社)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「羽林家」の解説

羽林家
うりんけ

摂家・清華(せいが)家・大臣家につぐ公家の家格。羽林とは,近衛府の唐名。近衛少将・中将をへて,中納言・大納言を極官とする。平安末~室町時代に家格が形成され,江戸時代に固定。幕末には40余家となった。おもな家には,正親町(おおぎまち)・滋野井(しげのい)・清水谷(しみずだに)・姉小路(あねがこうじ)・河鰭(かわばた)(以上閑院(かんいん)庶流),中山・難波(なんば)・飛鳥井(あすかい)(以上花山院庶流),持明院(じみょういん)・園(その)・松木(まつき)(以上中御門流),四条・油小路(あぶらこうじ)・鷲尾(わしのお)・山科(やましな)(以上四条流),水無瀬(みなせ)・冷泉(れいぜい)などの藤原氏諸家や,六条・千種(ちぐさ)・久世(くぜ)(以上久我(こが)家庶流),庭田・綾小路(あやのこうじ)などの源氏諸家がある。多くは1884年(明治17)に伯爵となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「羽林家」の意味・わかりやすい解説

羽林家
うりんけ

堂上公家の家格。大夫,侍従,近衛次将を経て,中納言,大納言にいたり,公卿に列する家をいう。羽林は,近衛府の唐名。

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世界大百科事典(旧版)内の羽林家の言及

【大納言】より

…定員は時代によって増減があり,権官の任命も行われた。中世以降は栄誉化し,近衛中・少将を経て大納言を最高位とする貴族の家を羽林家(うりんけ)と称した。【山本 信吉】。…

※「羽林家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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