食わせる(読み)クワセル

デジタル大辞泉 「食わせる」の意味・読み・例文・類語

くわ・せる〔くはせる〕【食わせる】

[動サ下一][文]くは・す[サ下二]
物を食べさせる。飲食させる。「腹いっぱい―・せる」
扶養する。養う。「この収入では家族を―・せられない」
(害を)与える。食らわす。こうむらせる。「げんこつを一発―・せる」「けんつくを―・せる」
(「一杯くわせる」の形で)だます。あざむく。「まんまと一杯―・せてやった」
おいしい料理を出す。「なかなか―・せる店だ」
口にくわえさせる。含ませる。
「御巻数くわんず鶴に―・せて州浜にたてたりけり」〈拾遺・賀・詞書
[類語]養う育てる育む培う育て上げる手塩に掛ける養育保育育児子育て扶養養護

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「食わせる」の意味・読み・例文・類語

くわ‐・せるくは‥【食・喰】

  1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]くは・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
  2. 飲食させる。食べさせる。くらわす。
    1. [初出の実例]「もと見し人の前に出で来て、物くはせなどしけり」(出典:伊勢物語(10C前)六二)
  3. くわえさせる。口にふくませる。
    1. [初出の実例]「侍従聞きて〈略〉つとめて黒方に銀(しろがね)の鯉くはせて、その鯉にかく書きつけて奉れたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  4. ( 「目をくわす」の形で ) 目を合わせる。目で合図する。→めくわす
    1. [初出の実例]「大将の御方をあまたたびみやらせたまふに、めをくはせ給へば、御おもていとあかくなりて」(出典:大鏡(12C前)二)
  5. やしなう。扶養する。
    1. [初出の実例]「此身(おれ)が勝手で不来に居たからといって、女房や母を喰(クハ)せずに置れるものか」(出典:人情本・英対暖語(1838)四)
  6. 相手の意思にかかわりなく受けさせる。与える。こうむらせる。くらわせる。
    1. [初出の実例]「バウヲ cuuasuru(クワスル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. 打つ。たたく。なぐる。くらわす。
    1. [初出の実例]「二つづつくわせて、あどはひっこむ」(出典:虎明本狂言・丼礑(室町末‐近世初))
  8. 弓に矢をつがえる。打ち食わす。
  9. だます。あざむく。だしぬく。はめる。→一杯食わせる
    1. [初出の実例]「『判官殿の思ひ人と又くわせたは、其心はいかに』『弁慶です』」(出典:虎明本狂言・今参(室町末‐近世初))

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