翻訳|plesiosaur
ジュラ紀から白亜紀にかけての、約1億9960万年~6550万年前に繁栄した海生爬虫(はちゅう)類。分類学上は鰭竜(きりゅう)目中の1亜目。長頸竜(ちょうけいりゅう)あるいは蛇頸竜(だけいりゅう)ともいう。外観はヘビのような頸(くび)がウミガメのような胴につながっているようにみえる。2大別され、頸の長い種類では頭が非常に小さく、頸の短い種類では頭が非常に大きかった。前肢と後肢はオールのように変形していた。泳ぎ方は、ウミガメやペンギンのように、四肢を翼のように水中で流したものらしい。鼻孔は頭の頂上の眼前にあり、あごはとがった歯で武装されていた。エラスモサウルスElasmosaurusでは頸骨(けいこつ)(頸の骨)が76個もあるほど長かった。胃の中に胃石(ガストロリス)をもち、翼竜、魚、頭足類の遺骸(いがい)を含んだ化石が発見されている。最小で全長2メートルぐらいから、全長13メートルにまで及ぶ種類がある。頭の大きい種類では頭長3メートルもあるものがいた。
[小畠郁生]
『小畠郁生著『白亜紀の自然史』(1993・東京大学出版会)』▽『金子隆一・中野美鹿・長尾衣里子著『翼竜の謎――翼竜・首長竜・魚竜の時代』(1995・二見書房)』
爬虫類の広弓亜綱Euryapsidaに属する鰭竜(きりゆう)目Sauropterygiaの1群(亜目)Plesiosauria。蛇頸竜あるいは長頸竜ともいう。ジュラ紀および白亜紀に全世界に栄えた海生の爬虫類の代表的な動物群である。側頭窓は単一で,顎関節の位置は低く方形頰骨を欠いている。頭骨上面に松果孔が開く。椎骨は両凹ないし両平型。肋骨は単頭で脊椎の横突起に関節する。腹側にも3種類の互いに関節しない肋骨が籠状に配列している。肩帯と腰帯の骨は扁平化し,腹側に偏在する。四肢の骨も扁平となり水中生活に適した鰭状肢となる。指は5列に配列しているが,指数は過剰指となる。最大のものは体長15m近くなる。体の外形は甲羅のないカメのような動物であるが,より活動的な生活をしていたと考えられる。歯は単尖の同形歯で,歯冠の表面には特徴的な線状彫刻がみられる。頭が大きくて首の短いプリオサウルスpliosaurus型と頭が小さくて首の長いプレシオサウルスplesiosaurus型とに二大別される。魚食性である。その生態について,アザラシのように陸上生活もできたと考えている人もいるが,骨格の構造からみて不可能である。したがって繁殖も魚竜のような卵胎生と考えられる。
福島県および北海道などから白亜紀の首長竜化石が何種類か産出している。とくに福島県いわき市から発見されたフタバスズキリュウは環太平洋のアジア側から産出した最良の標本として注目されている。
執筆者:長谷川 善和
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