駅・駅家(読み)えき・うまや

百科事典マイペディア 「駅・駅家」の意味・わかりやすい解説

駅・駅家【えき・うまや】

古代の駅伝(えきでん)制のうち朝廷が関与した駅制により,東海道東山道北陸道山陰道山陽道南海道西海(さいかい)道の七道に設置された施設。駅は原則として30里(約16km)ごとに置かれ,大路(たいろ)(山陽道)は20疋,中路(ちゅうろ)(東海道・東山道)は10疋,小路(しょうろ)は5疋の駅馬(えきば)が常備された。駅家(〈えきか〉ともいう)には人馬の食料や休憩・宿泊の施設が整えられ,駅鈴(えきれい)を貸与されて出張する官人や公文書を伝送する駅使が駅家に到着すれば,乗継ぎの駅馬や案内の駅子(えきし)を提供した。駅・駅家は兵部省(ひょうぶしょう)の管轄下にあり,10世紀初頭の《延喜式》には全国で402の駅名があげられている。一方,国司赴任や国内巡行などは伝馬(てんま)制によった。伝馬制は各国の国府郡家(ぐうけ)を連絡するために,各郡家に5疋ずつの伝馬を常備させ,伝符(てんぷ)を帯びた中央官人や国司がくれば伝馬や雑徭(ぞうよう)の一種として伝馬丁(てんまてい)を提供する制度であった。駅伝制は10―11世紀にはほとんど衰退し,代わって宿が発達していった。→宿・宿駅
→関連項目駅長(日本史)街道五畿七道

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