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兵部省 ひょうぶしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

兵部省
ひょうぶしょう

(1) 律令時代の中央官庁八省の一つ。「つわもののつかさ」とも読む。武官の人事ならびに軍事に関する諸事を司った。長官は兵部卿で,輔,丞,録の四等官以下史生,書生などの職員がおかれた。直属の官庁として,兵馬司造兵司,鼓吹 (くすい) 司,主船司主鷹司の5司があった。

(2) 明治の太政官制における軍官制の一つ。維新政府に最初に設けられた軍事官制は慶応4 (1868) 年1月 17日,「三職の制」を「三職七科の制」に改めた際の海陸軍科である。海陸軍科は同年2月3日「三職八局の制」への改制により軍防事務局となり,さらに同年閏4月 21日の「七官両局の制」による軍務官を経て,翌明治2 (69) 年7月8日「二官六省の制」の採用により兵部省となった。陸海両軍にわたり軍令軍政を司るものとされた中央官制であった。長官は兵部卿といい,初代卿には小松宮嘉彰 (彰仁) 親王,次官の兵部大輔には大村永敏 (益次郎) がついた。旧帝国陸海軍の曙期をになったが,同5年2月 27日陸軍省海軍省を設置するために廃止された。

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デジタル大辞泉の解説

つわもの‐の‐つかさ〔つはもの‐〕【兵省/司】

ひょうぶしょう(兵部省)1
(兵司)後宮十二司の一。兵器のことをつかさどった。

ひょうぶ‐しょう〔ヒヤウブシヤウ〕【兵部省】

律令制で、太政官(だいじょうかん)八省の一。諸国兵士軍旅兵馬・城・兵器などに関することをつかさどった。つわもののつかさ。
明治2年(1869)に置かれた六省の一。同5年に陸軍省海軍省となる。

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百科事典マイペディアの解説

兵部省【ひょうぶしょう】

(1)律令制下の八省(はっしょう)の一つ。軍事を担当。兵馬(ひょうめ)・造兵・鼓吹(くすい)・主船・主鷹(しゅよう)の5司を管轄。実戦部隊は中央で衛府(えふ),地方で軍団などであるが,これらを指揮し,また武官人事を掌握したので,有力な官庁だった。
→関連項目駅・駅家軍法会議散位寮鎮台鳥尾小弥太沼津兵学校兵庫寮

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世界大百科事典 第2版の解説

ひょうぶしょう【兵部省】

(1)令制の八省の一つ。和訓は〈つわもののつかさ〉という。内外武官の名帳,考課,選叙など人事,および兵士の差発,兵器,儀仗,城隍,烽火軍政一般を管掌し,兵馬司,造兵司鼓吹司主船司,主鷹司を管轄した。構成は,卿,大輔少輔,大丞各1人,少丞2人,大録1人,少録3人,史生10人,省掌2人,使部60人,直丁4人。成立は大宝令期と考えられるが,それ以前については詳細は不明。《日本書紀》天武4年(675)にみえる兵政官長,大輔をその前身とみる考えがあるが,不詳。

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大辞林 第三版の解説

ひょうぶしょう【兵部省】

律令制で、太政官八省の一。軍政一般、特に武官人事を担当。つわもののつかさ。
明治初期の軍令・軍政機関。1869年(明治2)に六省の一つとして設置され陸海軍・軍備などを管掌。72年陸・海軍両省の創設に伴い廃止。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

兵部省
ひょうぶしょう

奈良時代の軍事官衙(かんが)。八省の一つ。和名「つわもののつかさ」。構成は卿(かみ)1、大輔(だいすけ)1、少輔1、大丞(だいじょう)1、少丞2、大録(だいさかん)1、少録3、史生(ししょう)10、省掌(しょうしょう)2、使部(しぶ)60、直丁(じきてい)4。任務は、内外武官の人事、兵士の差発、兵器、儀仗(ぎじょう)、城隍(じょうこう)、烽火(ほうか)の管理など。律令(りつりょう)以前の675年(天武天皇4)に兵政官長、大輔が任命されているが、これを兵部省官人の前身と考え、このころ成立したと考えられている。しかし、唐(とう)の兵部尚書、天武(てんむ)時代の兵政官長、飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)、大宝(たいほう)令、養老(ようろう)令、それぞれの兵部卿がどのように関連しているかは今後の検討が必要。なお近代、1869年(明治2)7月の官制改革で設置された兵部省の構成はほぼ古代官制を継承し、また海陸軍、郷兵、召幕、守衛、軍備、兵学校を管掌したが、72年に廃止され、新たに陸軍省、海軍省が設置された。[野田嶺志]

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世界大百科事典内の兵部省の言及

【兵部省】より

…兵政官長が長官を意味する用語であれば,当時,他の八省長官が尚書などの用語をもちいていることとの違い,さらには兵政官は太政官の支配下にあって八省に位置づけられるものなのか,など不明の論点が多い。兵部省の性格を,隋・唐のそれと比較するとはなはだしく相違し,隋・唐の基本的性格が削除され,また日本の兵部省が管轄する諸官司についても兵馬司を除いて共通性がない。日本律令制下の兵部省は日本固有の理由のもとに設置されたものである。…

【海軍省】より

…海軍の軍政統轄機関。明治維新後,新政府の軍制では,海軍独立の行政機関はなく,海陸軍務課,軍防事務局,軍務官,兵部省と変遷した。1870年(明治3)兵部省内に海軍掛が設けられ,さらに陸軍部と海軍部とに区分された。…

【軍制】より

…このほか,朝廷に出仕する隼人を管理する隼人司,馬匹,兵器の管理にあたる左右馬寮(めりよう)・左右兵庫・内兵庫等の諸司があった。武官の名帳・考選,全国の兵士・兵器・城・烽等の管理にあたる兵部省にも,兵馬司・造兵司・鼓吹司・主船司・主鷹司等が付属していた。 律令兵制は,8世紀を通じて機能した。…

【二官八省】より

…日本古代の律令制の官庁組織をいう語。狭義には太政官(だいじようかん),神祇官(じんぎかん)の二官と中務(なかつかさ)省式部(しきぶ)省治部(じぶ)省民部(みんぶ)省兵部(ひようぶ)省刑部(ぎようぶ)省大蔵(おおくら)省宮内(くない)省の八省を指すが,広義には,この二官・八省に統轄される八省被管の職・寮・司や弾正台(だんじようだい),衛府(えふ)などの中央官庁および大宰府(だざいふ)や諸国などの地方官庁を含む律令制の全官庁組織の総体をいい,ふつうは後者の意味で用いる。このような官庁組織は,7世紀後半から8世紀初めにかけて形成された。…

※「兵部省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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