翻訳|depth charge
魚雷、機雷と同じ水中破壊兵器だが、もっぱら対潜水艦攻撃用として用いられる。水上艦艇や航空機から投下され、あらかじめ調定された深度に達すると爆発して潜水艦に致命的な損害を与える。ドラム缶型(重量約190キログラム)と流線形型(約150キログラム)の2種あり、いずれも爆薬量90~135キログラム。潜水艦の速度上昇に伴い現在では速沈性の大きい流線形型爆雷にとってかわられている。初期は艦尾に投下軌条を設け、潜水艦が探知された海面で投下していたが、ソナーなど水測武器の性能向上で探知海域が拡大されるにつれて爆雷投射機が出現、K砲(片舷(へんげん)投射)、Y砲(両舷用)で最大120メートル先まで射出できるようになった。第二次世界大戦中から爆雷は前投方式の射出機と組み合わされ対潜弾として多く開発された。そのおもなものにはヘッジホッグ(米、二四連装)、マウストラップ(米、四連装)、MK108型ロケット・ランチャー(米、単装)、リンボウ(英、三連装)、ボフォース型ロケット・ランチャー(スウェーデン、四連装)などがある。しかし潜水艦が高速、深深度化した結果、対潜武器の主流は自動追尾魚雷が占めるようになり、新型の水上艦艇は爆雷投射機能を有していない。海上自衛隊の護衛艦の標準装備からも爆雷は姿を消しつつある。ただ、核弾頭を装置した爆雷はその大破壊力によって特定の状況下では利用価値があるとみなされ、冷戦時代、米ソ両国は核爆雷(米=サブロック、ソ連=SS-N-15)を保有してきた。
[前田哲男]
潜水艦を攻撃するための水中兵器の一種。金属製の容器に爆薬と水圧により作動する起爆装置などを備えたもので,第1次世界大戦から第2次世界大戦の中期までは,対潜兵器の主役を占めてきた。用法は探知した潜水艦に対し,水上艦から数個単位で投下または投射し,潜水艦を前後左右から包むように次々と爆発させて攻撃する。爆発深度は,潜水艦の予測深度にあわせ,投下または投射前にあらかじめ起爆装置に設定される。初期の爆雷は,ドラム缶形で,沈降速度も遅く,攻撃精度も悪かったが,第2次大戦の中期から,沈降速度の速い涙滴形に改善された。しかし,その後,水上艦の潜水艦探知機(ソナー)の進歩に伴い,射程の長い前投式の対潜ロケット弾やホーミング魚雷(自分で目標を探知・追尾する魚雷)が,対潜水艦用兵器として主用されるようになり,爆雷は現在ほとんど使用されていない。
執筆者:大平 忠
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