六訂版 家庭医学大全科 「骨盤腹膜炎」の解説
骨盤腹膜炎
こつばんふくまくえん
Pelvic peritonitis
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
骨盤内には前に膀胱、後ろに直腸、その間に子宮・卵管があり、それらの表面は腹膜でおおわれています。この骨盤腹膜に起こった炎症が、骨盤腹膜炎です。
原因は何か
骨盤腹膜炎の多くは、前述の子宮頸管炎(けいかんえん)から子宮内膜炎(ないまくえん)、子宮付属器炎、そして骨盤腹膜炎へと感染が上行性に進むことにより発症します。したがって、これら子宮頸管炎、子宮内膜炎および子宮付属器炎の原因が、骨盤腹膜炎の原因になりえます。
最近では、性行為感染症であるクラミジアと淋菌感染によるものが増えています。また、子宮内避妊器具(IUD)を交換せずに長期間装着していると、発症することがあります。そのほか、開腹手術後の感染から起こることもあります。
症状の現れ方
急性期には、下腹部全体に及ぶ持続性の痛みや膿性帯下、
慢性期に移行すると、骨盤内の臓器が
検査と診断
急性期には下腹部の圧痛が認められ、腹壁の筋肉が緊張し硬く触れます(
腹膜炎による
治療の方法
急性期には原因菌に合った抗生剤療法を行います。
膿瘍や
病気に気づいたらどうする
適切な抗生剤療法が必要なので、早急に受診する必要があります。
水口 剛雄
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報