(読み)ケリ

デジタル大辞泉 「鳧」の意味・読み・例文・類語

けり【×鳧/計里】

チドリ科の鳥。全長約36センチ。頭から背は灰褐色腹部は白く、胸に黒色の線がある。本州北部と近畿地方草原田畑繁殖ケリリ、キリリイと鳴く。 夏》「―の子の浅田にわたる夕かな/暁台

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精選版 日本国語大辞典 「鳧」の意味・読み・例文・類語

けり【鳧・計里】

  1. 〘 名詞 〙 チドリ科の鳥。全長約三五センチメートルで、大きさはハトぐらい。頭から胸まで灰色、背は黒褐色、腹部は白く胸に細い黒帯がある。くちばしは黄色で先端は暗黒色。あしが長く、チドリに似ているが翼はとがっていない。鳴き声は、ケリリ、ケリリと聞こえる。四~六月ころ枯れ草やコケ地面営巣。日本では近畿以北の低地にすみ、多雪地帯のものは冬は南方へ渡る。やまげり。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「国巡る獦子鳥(あとり)(かま)気利(ケリ)行き廻り帰り来までに斎ひて待たね」(出典万葉集(8C後)二〇・四三三九)

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普及版 字通 「鳧」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音]
[字訓] かも・あひる

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
鳥+人。〔説文〕三下に字を(しゆ)に従う形とし「舒鳧(じよふ)、鶩(ぼく)なり」、また鳥部四上に「鶩は舒鳧(あひる)なり」、その次条に「(えい)は鳧の屬なり」として〔詩、大雅、鳧〕「鳧(ふえい)、梁(りやう)に在り」の句を引く。梁は(けい)の誤りであろう。金文字形は、鳥の後に小さく人を加えており、鳥形霊の観念を示す字かと思われる。〔周礼、考工記、鳧氏〕は鐘を作ることを掌り、周鐘の鼓右の部分に鸞鳳(らんぽう)のような鳥の形がそえられている。それで鐘をまた鳧鐘(ふしよう)という。鐘は神霊を招く楽器である。鳧は〔詩、大雅、鳧〕に「鳧に在り」とみえるように、おそらく渡り鳥。時期を定めて来帰する鳥を、祖霊の化身とみて、そこを聖地として祀ることが行われた。鳧の字形が、その鳥形霊の観念と直接結合されているように思われる。

[訓義]
1. かも。
2. あひる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕鳧 太加(たかべ) 〔名義抄〕鳧 鴨の屬なり。カモ・タカベ 〔字鏡集〕鳧 カモ

[語系]
鳧bio、鶩miuは声近く、もと同種のものとされ、〔爾雅、釈鳥、注〕に、野に在るものを鳧、家に在るものを鶩とする。〔詩、大雅〕の「鳧」は渡り鳥であるから野鳥。賈誼の〔新書、春秋〕に「鳧雁をらふ」とみえるものは家鴨、また王勃の〔王閣の序〕「霞、鶩(こぼく)と齊しく飛ぶ」は野鴨である。〔芸文類聚、九十一〕、〔太平御覧、九二五〕に引く〔説文〕に「鶩は野鳧なり」とあって、もとは雁とみていたのであろう。

[熟語]
鳧乙・鳧・鳧影・鳧翁・鳧・鳧鴨・鳧雁・鳧脛・鳧氏・鳧舟・鳧渚・鳧鐘・鳧趨・鳧船・鳧藻・鳧飛・鳧舫・鳧浴
[下接語]
家鳧・海鳧・戯鳧・魚鳧・驚鳧・軽鳧・孤鳧・江鳧・沙鳧・渚鳧・舒鳧・信鳧・晨鳧・水鳧・睡鳧・翠鳧・仙鳧・飛鳧・眠鳧・野鳧・遊鳧・養鳧・弋鳧

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鳧」の解説

鳧 (ケリ)

学名:Microsarcops cinereus
動物。チドリ科の鳥

鳧 (カモ)

動物。カモ科に属する鳥の総称

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