子供相手に演じる紙芝居の主人公として、1930年(昭和5)に創作された超人。作者は鈴木一郎(本名平太朗)。黄金骸骨(がいこつ)に赤マント、中世騎士風のスタイルを考案し、最初に絵を描いたのは永松健夫(たけお)で、続いて加太こうじらも描き、31~34年には圧倒的な人気を得た。作者は少年時代に愛読した押川春浪(おしかわしゅんろう)の武侠(ぶきょう)小説の影響で物語をつくったが、むしろ春浪の作品のヒントになったジュール・ベルヌの空想科学冒険物語に似ている。第二次世界大戦後も紙芝居や児童雑誌に復活し、68年(昭和43)にはアニメーションとしてテレビ放映された。正義の味方、黄金バットは当時の少年たちのアイドルであり、後の月光仮面など超人(スーパーマン)の先駆ともいうことができる。
[加太こうじ]
…そのとき,そのあたりで商売をしていた紙芝居屋が絵本の説明をすることからヒントを得て絵物語形式の紙芝居を始めた。その最初のころの作品として《黄金バット》シリーズが作られて東京下町の子どもの人気を集めた。以来,紙人形の芝居はすたれて紙芝居といえば絵物語の形式になった。…
※「黄金バット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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